話題作のこの本、ようやく読むことができました!映画されたんだよね〜!♪音楽を言葉で表現するのっていかにムズカシイか!それをいとも簡単に(!?)作者はやってのけている!
「近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた」直木賞&本屋大賞W受賞作。そのエッセンスを紹介しよう。
・新たな音が頭上から降ってきて、 たちまちそちらに関心を奪われた。そう、 まさに驟雨のように空から。明るく力強い音色が、 世界を震わせていた。波であり振動である何かが、 世界にあまねっく響き渡っていた。 その響きにじっと聴き入っていると、 自分の存在そのものが包まれているような気がして、 心が凪いでいるのを感じた。今、 改めてこの時の光景を見ることができたならば、 きっとこう言ったことだろう。 明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、 世界を祝福する音符であると。そして世界とは、 いつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろう、と。
・そもそも、上手な子、 何か光る子というのは弾き始めた瞬間にもう分わかってしまう。 中には、出てきた瞬間に分かる、と豪語する先生もいるくらいだ。 確かに、オーラをまとった子もいるが、そこまでいかなくとも、 ちょっと聴いただけで、おおよそのレベルは見当がつく。
・技術は最低限の条件に過ぎない。 音楽家になれる保証などどこにもない。 運良くプロとしてデビューしても、続けられるとは限らない。 彼らは幼い頃から、いったいどれくらいの時間をあの黒い恐ろしい楽器と対面して費や してきたことか。どれほど子供らしい楽しみを我慢し、 親たちの期待を背負い込んできたことか。そっして、 彼らは誰もが自分が万雷の喝采を浴びる日を脳裏に夢見ているのだ 。
・あのユウジ・フォン=ホフマンの推薦状! 今年二月にひっそくなくなった伝説の音楽家。 僕は爆弾をセットしておいたよ。僕がいなくなったら、 ちゃんと爆発するはずさ。世にも美しい爆弾がね。皆さんに、 カザマ・ジンをお贈りする。文字通り、彼は『ギフト』である。 彼は劇薬なのだ。
・ステージが明るかった。少年がピアノと触れ合っている( としか思えなかった)ところだけがほっこりと明るく、 しかも何か極彩色のキラキラしたものがそこからうねって流れだし てくるように見えるのだ。
・愛されている。亜夜が少年の顔を初めて見た時、 頭に浮かんだのはその言葉だった。この子は、 音楽の神様に愛されているんだ。 なぜそう思ったのかは分からない。しかし、その顔を見たとたん、 亜夜はそう思った。神々しさ、無垢さ、そういった、 ふだんつかったことのない言葉のイメージを、 彼の顔の中に直感したのだ。
・楽器とは面白い。彼女が弾いていると、 グランドピアノがまるで特別仕様のでかいベンツで、 それを乗り回しているかのよう。見事なハンドルさばき、 みなぎるパワー。高速で飛ばしても車体は浮かず、安定感は抜群。 人によってはおとなしいファミリーワゴンや、 見かけだけで小回りの利かないオープンカーみたいになってしまう のに。
・こうして後世に残っている曲には、 それぞれに曲としてのきちんとした必然性があるんだ。 それを弾きこなせない、説得力のないピアニストが悪いんだよ。
・風間塵の音楽は消えない。バッハが、モーツアルトが、イスラメイが、流れ続けている。衝撃だった。あの、極彩色の音楽。生命の歓びに満ちた音楽。ステージから溢れ出してくるかのような、圧倒的な神々しい音楽。この子は、音楽の神様から愛されているんだ。
・聴きなさい、と先生は言った。世界は音楽に溢れている。聴きなさい、塵。耳を澄ませなさい。世界に溢れている音楽を聴ける者だけが、自らの音楽をも生み出せるのだから。
一気に読んでしまった!早く下巻を読まなければ!超オススメです!(・∀・)♪