さてこの本。そうそう、はじめて上京したときのことを思い出すなあ。「OL時代に貯めた200万円を携えいざ東京へ。イラストレーターになる夢に近づいたり離れたり、高級レストランに思いきって出かけ初めての味にドギマギしたり、ふと老後が不安になり相談窓口に駆け込んだり。そして父から毎年届く御中元に切なくなる。東京暮らしの悲喜交々を綴るエッセイ集」そのエッセンスを紹介しよう。
・大阪から上京したのは今から10年前の26歳のとき。 東京でイラストレーターになろうと思ったのだ。ツテもない。 退職金と貯金で200万円ほど持っていた。「 当面はできるだけ節約して生活しなければ」となるはずが「 貯金を使い切るまではのんびり暮らそう」と思い、 そして恐ろしいことに本当に実行してしまったのである。起きて、 散歩して、疲れたらマッサージ行き、食べたいものを食べ、 夜になったら眠る。そんな生活を上京後、半年間もつづけたのだ… …その後、貯金が乏しくなってきたので、 バイトをしながら出版社に売り込みに行き、 なんとなく作った川柳から仕事が来て、 今はこうしてエッセイを書いている。
・それにしても、 何にもしなかったあの半年間ってなんだったんだろう? ときどき思い出し、可笑しくてたまらなくなる。あれは、 東京という大都会に打ちのめされないために力を貯えていた、 ワタシの大事なお休みだったようにも思えるのである。
・「一番最初に買われたレコードってなんですか?」 この質問はなかなか機転がきいている。 最初に買ったレコードで年齢を当ててみます、という流れだ。
・「故郷は捨てたのではなく保存した」
・「のら猫がいる道とおって帰る家」
・街でサイレンを鳴らした救急車とすれ違うときには「 この救急車の中にいる人が助かりますように」「 これから迎えにいく人が助かりますように」、 そう強く念じるようにしている。 誰かと一緒のときは心の中で思うだけだけど、 わたしひとりのときには「助かりますように」と小声で口に出す。 なんとなくクセになっているのだ。たとえ知らない人であっても、 助かりますようにと願うことは大事なことみたいにわたしは思うの である。
・面白いことに、メールをするようになってからのほうが、 実際に友達と会って喋る機会が増えたと思う。
・同世代の友達、男女6人でカラオケに行った。 みな気心知れた仲である。「縛りカラオケ」をしよう! ということにあった。最初の縛りは「ここにいる人が知らなくて、 自分だけが知っていると思う曲」だ。さて、わたしは何を歌おう? 松田聖子ちゃんの「赤い靴のバレリーナ」 というのを歌うことにした。 いつもより前髪を1ミリ切り過ぎた女の子が、 そのせいで彼に会うのが恥ずかしい、 なんていうかわいらしい曲だ。
その他、「譲り合いのブーケ」「セレブの会」「仙人の忠告」「 一番大切なもの」「父のぬくもり」「譲れないこと」「 どんぐり拾い」「小さな宝石(エステ)」「お年玉」「 高額なお買い物」「選手入場」「ネギ栽培ガーデニング」「 鱧寿司と牛蒡」「脳年齢」など。
いいねえ。女性ならではの視点。笑えるエピソード満載。オススメです。(・∀・)