「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「羽生善治論ー「天才」とは何か」(加藤一二三)


「神武以来の天才」と呼ばれた加藤一二三九段は、史上最年少棋士で、史上初の中学生棋士かつ73歳で現役の棋士なのだ。そしてライバルである天才棋士羽生善治三冠を徹底分析!語る理由は三つ。その圧倒的な強さの秘密はどこにあるのか。羽生善治とはいったい何者なのか、そして羽生さんがいったい、どこに向かおうとしているのか、そのエッセンスを紹介しよう。


・通算勝利数一位を誇る大山康晴十五世名人は、将棋棋士「天才業」と呼んだ。つまり、将棋界は天才集団といっているのである。


勉強している、していないにかかわらず、早く指すことができて、しかも着手が正確でなおかつ勝つこと、これは間違いなく天才の共通点である。絶対だ。天才は、盤を見た瞬間に、パッと手がひらめくのである。こうした能力は努力したからといって身につくものではない。もって生まれた、並外れた素質としかいいようがない。


棋士の世界の厳しい現実として、「努力したからといって、必ずしも成果が出るわけではない」ということがある。努力をすれば、それに比例して成果が上がるのは事実である。けれども、努力すれば勝てるかといえば、疑問といわざるをえないのが、この世界の厳しいところなのだ。努力の量と勝負の世界は別だ。


・羽生さんが対局場所に向かう列車やハイヤーで隣り合わせになったこともなる。その一時間、二時間はいつもしゃべり通しなのだが、その内容は西洋の歴史や音楽をはじめとする文化、旅行、羽生さんの好きなチェスなどについての話題も多い。彼は将棋以外の人とも積極的に交流している。


・羽生さんの将棋の特色として、まず指摘しておかなければならないのは、基本的には非常に正統派の将棋であり、王道を行っているということである。第一に彼は基本を非常に大切にする。第二に羽生さんは、非常に研究熱心である。


・羽生さん、ほかの棋士にはない、ひとつの大きな特徴がある。「逆転勝ちがきわめて多い」ということである。羽生さんは、われわれプロから見ても、絶対に逆転できないという状況から逆転勝ちしてしまうことが多いのが最大の特徴である。それらの逆転劇は奇跡と呼ぶほかないので、しばしば「羽生マジック」と呼ばれるほどだ。こんな勝ち方をする棋士をいまだかつて私は見たことがない。


・では、なぜ羽生さんに逆転勝ちが多いのはなぜか。羽生マジックの秘密はどこにあるのか。羽生さんは、なんとか苦しい局面をしのぎながら、まさしく糸のような細い、細いコースを辿っていくことができるのである。それが可能である理由はやはり、「勝負勘がずば抜けている」ということだと私は思っている。つまり、光を見出すまでのコースの選び方が的確なのだ。


・羽生さんは「(苦しい状況のときや指し手が見えないときは)相手の選択に「自由にしてください」と身を委ねる」と述べている。すなわち、状況を複雑にして、相手の出方ー羽生さんの表現でいえば「他力」を利用して返し技を仕掛ける、というわけである。こうした戦術はまさしく羽生さん独特のものであり、ほかの棋士にはまったくないはずだ。少なくとも私にはできない。


…スゴイなあ。やっぱり天才は天才を呼ぶんだねー!オススメです。(・ω<)