西武ライオンズを黄金時代を築いた名将・森祇晶氏。現在はハワイの永住権を取って悠々自適の生活をしている。私としてはジャイアンツのV9の正捕手・森昌彦というイメージが強いんだけどね。当時は右投げ左打ちって少なかったんだよね。さて、この本は日本とアメリカの野球を観ている名将が鳴らす球界への警鐘。“野球”と“ベースボール”の狭間で考えた組織改造論とは―。そのエッセンスを紹介しよう。
・日本球界の監督選びの根底にあるのはマスコミ受けやら世評やらといった要素だ。「明るいキャラクター」だの「人気」だのといったものが能力よりも優先されるのと選手時代の実績が重視されているのが現実といっていい。
・米国では「スター主義」とはまったく無縁。メジャーの監督になるには、マイナーでのコーチ、監督を経てというのが一般的だ。さまざまな人種を束ねる力、管理能力、個々の選手の個性・脳力を発揮させる手腕などが監督に求められる。それをルーキー・リーグや1Aの指導者を手はじめに磨き続けるのである。会社が採用した社員にいろいろな部署を経験させ、幹部候補生として引き上げていくのに似ている。
・監督個人の適性は別として、最近の二軍監督→一軍監督という指揮官育成ルートには賛成である。二軍に課せられた選手を育成するという作業は非常に難しく、同時に大切なものである。球団が多額の投資をして集めた金の卵をどうやって孵化させるのが、チームにとっては重要事項のはずだからだ。
・私なりの良い監督の条件
1 野球への情熱の高さ
2 全体を見極める視野の広さ
3 決断力と勇気
4 「選手が主役」を自覚
その他、「監督の選び方」「WBC監督問題が伝えるもの」「星野JAPANの挫折」「日本式プレーオフの功罪」「MLBとの付き合い方」「FAと選手会にもの申す」「田澤問題とドラフト」「加藤コミッショナーへの提言」「私の球界改革プラン」…など。実に含蓄深い。野球ファンにオススメです。(・∀・)