- 作者: 東井義雄
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 10人 クリック: 66回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
BOOK〜『10代の君たちへ 自分を育てるのは自分』(東井義雄)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20121208
あまりにも深くて、心を打つメッセージが満載。第二弾として再び取り上げるね。そのエッセンスを紹介しましょう。
・私は四十年間、小学校、中学校の先生をやってきました。先生の中にはね、立派な先生もいなきゃならないし、私のような、ぶきっちょな、何もできん先生もいる必要もあるのです。
T君という、小児マヒの子がいました。小児マヒですから、跳び箱、飛べません。平均台、渡れません。マット運動、できません。しかし、毎年の運動会のかけっこに、担任の先生が、「君、見学したほうがよいぞ」と勧めてやっても、進んで参加して、皆から何十メートル遅れて、最後の最後まで歯をくいしばって、走る抜いたT君でした。彼が走るたびに、たくさんおお客さんは皆立ち上がって涙の声援をおくってやってくれました。
私は校長としてね、このT君にも「おまえの体、ここに値打ちがあるぞ」といってやることができるような通信簿をつくろうじゃないかというので、一生懸命、頑張って、そんな通信簿をつくってきました。皆さんどこかに値打ちを持っているんですね。その値打ちを先生に見つけていただいたり、自分で自覚したりして。五千通りの可能性の中から値打ちのある可能性をつくっていこうといこと考える主人公が、皆さん一人ひとりなんだということを知っていただきたいんです。
・皆さんの人生はこれからはじまるわけですが、これからはじまる人生をどんな人生にしあげていくか。下手くそな鯛の絵を黒板に三匹かきました。皆さん鯛にはどんな種類があるか知ってますか。一番こちら鯛はなんという鯛かというと、「もうちょっと寝とりたい」という鯛。その次の鯛は「もうちょっとテレビが見たい」という鯛。その次は「もうちょっとマンガが読みたい」という鯛。皆さんも、いろんな「たい」を持っていると思いますが、どうか、「たい」の奴隷にならんように、自律のちからをどうつけるかということを、頑張ってくださいね。
・「校長先生、卒業式、僕らでやらしてもらっていいですか」
「バカいうなよ。卒業式は学校がやるものだ。君らが勝手にしたら困るわい」
「そうですか、じゃあ答辞に一時間ほどいただきたいんですが、もらえるんでしょうか」
「まけとく。四十分でやってみい」
「まず、校長先生に何かいいたいことありませんか」司会の生徒がいいます。いっぱい手を挙げます。
「冬の朝、私がお掃除をしていたら、校長先生がまわって見えて、『お湯もらってお掃除しとんやろな』いうて。
バケツに手を入れてくださったら、冷たいお水だったので
『えらい冷たい水で掃除しとんやな。しもやけならんようにしてよ』いうて。校長先生が私の両手をはさんで、温めてくださったですね。あのことが忘れられません」泣きながらいう女の子がいます。
知的障害の子が、先生の手を握りしめて、
「先生のおかげで、九九がいえるようになったんです」
「先生のおかげで、本が読めるようになったんです。先生ありがとう」
胸に花を飾ります。先生は泣いてしまいます。
用務員のおばちゃんに女の子でした。
「朝の一時間目のお勉強がはじまってから、先生の用事で、おばちゃんのところ入ったら、おばちゃん朝ごはんを食べていました。先生から聞いたら、おばちゃん、暗いうちから起きて私たちのために、いろんな用事して、とうとうおばちゃんがご飯を食べたのは、私たち勉強がはじまってからになるんですね。おばちゃんは校長先生より忙しいですね。どうかおばちゃん、あんまり無理しないように、体を大事にして、後に残っている皆さんのために、よろしくお願いします」
おばちゃん胸に花を飾るもんですから、こらえきれずに、ワーッと泣き出してしまいます。
これからはじまる皆さん一人ひとりの人生を、どうか自分で粗末にするようなバカだけにはならないように、大きな願いを大切に、頑張り抜いてください。では、さようなら。」
東井先生は、子どもたちに素晴らしい人生を送ってほしい、自分で自分の人生を粗末にするようなバカな生き方をしてほしくない、という祈りのような願いを持ち続けていたという。感動。座右の書になりました。オススメです。(T_T)