「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜母と娘には言えない秘密が!?…『空中都市』(小手鞠るい)

空中都市

空中都市

ずっと前に図書館に予約していたので、なぜ予約したのかも忘れたまま読み始めた。タイトルの「空中都市」とはあのペルーのマチュピチュのことなのだろうか!?でも読み出すと第一行目が「ママが消えた」から始まる…なんじゃこれは?ミステリーなのか!?。(^^ゞ


「15歳の晴海は、旅先のニューヨークで母親が突然姿を消し、とまどっていた。「高校へ行かない」と言い張る自分に対する、怒りの表明なのか?しかし晴海の胸のなかには、両親に口が裂けても言えない秘密があった。高校に行きたくない理由となる、ある秘密が・・・・・・。 一方、母親の可南子にも、決して小さくない秘密があった。フィギュアスケーターとして活躍していた自らの10代にまでさかのぼる、ある秘密が。胸の奥底に、棘のようにずっと刺さったままの過去と向き合うために、彼女は娘を置いてペルーへ向かう――。


ママには何か、父に隠している「秘密」があるのではないか、と思ってしまった。今、私の胸のなかに、父には口が裂けても言えない秘密があるように、ママにも、あるのではないかと。「ひとり旅?本当にひとりなの?もしかしたら、誰かといっしょに?だとしたら、それはいったい、誰?」


・たとえば、ある本を、半分くらいまで読み進めた時、なぜか冒頭に戻って、最初から丁寧に読み返してみたくなる。あるいは、そうせざるを得ない、というようなことがたまにあるが、人生もそれに少し、似ているような気がする。半分くらいまで生きてきた時、最初にもどって生き直してみたくなる、というのか。無論、本当に生き直すのは無理なことだけど、そういう気持ちになってみることなら、できるのではないか。リセット?自分探し?どうちらでもない。自分は探さなくても、ここにいる。リセットして、過去をなかったことにするのでは、決してない。ならば何?なんなのか。この旅を選んだ理由は。合えて言葉にするなら、理解、だろうか。自分を理解するためには、過去のとらえ直しが必要なんだと思う。自分の選んだ人生と、選ばれなかった人生を「理解」するために、今、ひとりで歩いている。


・誰の人生にもあるのではないだろうか。たとえば、青春時代。たとえば、幸福な家族の記憶。たとえば。片思いの恋。そして、誰もがたった一度だけする。人生最後の旅−死への旅立ち。


「恋をするとね、そっちの方向は危険だとわかっていても、進んでしまうの。危ないってわかっているからこそ、進んでいっちゃうの。吸い寄せられるみたいにね。そういうものなの」


「行きなさい。勇気を持って、思い切って。この世の中にはね、そこまで行ってみないとわからないってことが、たくさんあるの。無駄なこと。無駄なように見えること、まわり道、失敗、失恋、失望、別れ、いいことよりも、そんなことの方が人を強く、優しくしてくれるものなのよ」


選ぶということはそのまま「自由」への証。人が何かを選ぼうとしている時、他人にはその自由を奪うことはできない。たとえ、その選択の自由の先に待ち構えているのが、不自由であっても、敗北であっても、絶望であっても。


もしかしたら、人は、人を、失ったりしないのかもしれない。長いのか短いのかわからない一生のなかで、人は多くのものを失うのだろうけれど、一度出会った人を失うことはないのかもしれない。そんなことを、一歩、足を踏み出すたびに思っていた。人と人とのあいだにだけは、喪失は、ない。


その他「十二角の石」、「サクサイワマン」、「インティワタナ」など、母娘の恋って似るのかな!?ペルーに行きたくなりました!オススメです。(^ム^)