- 作者: 小手鞠るい
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2012/01/31
- メディア: 単行本
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「15歳の晴海は、旅先のニューヨークで母親が突然姿を消し、とまどっていた。「高校へ行かない」と言い張る自分に対する、怒りの表明なのか?しかし晴海の胸のなかには、両親に口が裂けても言えない秘密があった。高校に行きたくない理由となる、ある秘密が・・・・・・。 一方、母親の可南子にも、決して小さくない秘密があった。フィギュアスケーターとして活躍していた自らの10代にまでさかのぼる、ある秘密が。胸の奥底に、棘のようにずっと刺さったままの過去と向き合うために、彼女は娘を置いてペルーへ向かう――。」
・ママには何か、父に隠している「秘密」があるのではないか、と思ってしまった。今、私の胸のなかに、父には口が裂けても言えない秘密があるように、ママにも、あるのではないかと。「ひとり旅?本当にひとりなの?もしかしたら、誰かといっしょに?だとしたら、それはいったい、誰?」
・たとえば、ある本を、半分くらいまで読み進めた時、なぜか冒頭に戻って、最初から丁寧に読み返してみたくなる。あるいは、そうせざるを得ない、というようなことがたまにあるが、人生もそれに少し、似ているような気がする。半分くらいまで生きてきた時、最初にもどって生き直してみたくなる、というのか。無論、本当に生き直すのは無理なことだけど、そういう気持ちになってみることなら、できるのではないか。リセット?自分探し?どうちらでもない。自分は探さなくても、ここにいる。リセットして、過去をなかったことにするのでは、決してない。ならば何?なんなのか。この旅を選んだ理由は。合えて言葉にするなら、理解、だろうか。自分を理解するためには、過去のとらえ直しが必要なんだと思う。自分の選んだ人生と、選ばれなかった人生を「理解」するために、今、ひとりで歩いている。
・誰の人生にもあるのではないだろうか。たとえば、青春時代。たとえば、幸福な家族の記憶。たとえば。片思いの恋。そして、誰もがたった一度だけする。人生最後の旅−死への旅立ち。
・「恋をするとね、そっちの方向は危険だとわかっていても、進んでしまうの。危ないってわかっているからこそ、進んでいっちゃうの。吸い寄せられるみたいにね。そういうものなの」
・「行きなさい。勇気を持って、思い切って。この世の中にはね、そこまで行ってみないとわからないってことが、たくさんあるの。無駄なこと。無駄なように見えること、まわり道、失敗、失恋、失望、別れ、いいことよりも、そんなことの方が人を強く、優しくしてくれるものなのよ」
・選ぶということはそのまま「自由」への証。人が何かを選ぼうとしている時、他人にはその自由を奪うことはできない。たとえ、その選択の自由の先に待ち構えているのが、不自由であっても、敗北であっても、絶望であっても。
・もしかしたら、人は、人を、失ったりしないのかもしれない。長いのか短いのかわからない一生のなかで、人は多くのものを失うのだろうけれど、一度出会った人を失うことはないのかもしれない。そんなことを、一歩、足を踏み出すたびに思っていた。人と人とのあいだにだけは、喪失は、ない。
その他「十二角の石」、「サクサイワマン」、「インティワタナ」など、母娘の恋って似るのかな!?ペルーに行きたくなりました!オススメです。(^ム^)