「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「向田邦子の恋文」(向田和子)

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またまた向田邦子さんの本。今回のテーマは「恋」だよ!「恋文」だよ!ラブレターじゃないんだよっ!「恋文」だよ!!(・∀・)
 
「それは、いかにも姉らしい“秘め事"だった。直筆の手紙、秘蔵の写真、妹の追想──没後二十年を越えて初めて明かされた素顔。脚本家への道を歩みはじめ、徹夜続きで仕事に打ち込む姉・邦子を慈しみ支えた一人の男性がいた。一途で切ない、秘密の恋だった――。邦子が急逝して二十年、妹・和子は遺品の中から、亡き二人が四十年近く前に送りあった手紙をみつける。遺された文面から今なお香り立つ想いが、遠い日をよみがえらせ、妹は姉にそっと語りかけ始める……。幾つもの想いが響き合う、姉と妹の「最後の本」。そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
・誰に聞くともなく、私も後で知ることになったが、姉とおつきあいのあったカメラマン、N氏は邦子より十三も年上で、妻子のある方だったという。
 
・姉が父にむかった口ごたえしたり、反抗的な態度を見せた記憶が私にはない。どんなに理不尽なことでも父に従い、家長として父を立てたただ、そこには、ここで事を起こせば、その余波は母に及ぶとの配慮もあったようだ。姉はどんなに帰りが遅く、徹夜明けであろうと、病気のとき以外は朝の食卓についた父が勤めに出るのを母と二人で見送った。それは娘として当然やるべきことと考えていたらしく、昭和39年10月に家を出るまで、その日課はつづいた。
 
・90歳になった母の回想を聞いたことがある。ここまで長生きするとは思ってもみなかったよ。もう言ってもいいだろう。自分の娘でありながら、それを超越していたよ、邦子は」言葉に姉への深い感謝の気持ちがあふれている。長い歳月を経て、自然にこみあげて来た率直な母の思い……。「遅く帰って来て、ひどく疲れているんだろうなと思っても、お母さんも話さずにいられなかった。悪いなあと思うけどネ。いやな顔ひとつしないんだよ。ちゃんとこっちの話を聞いてくれる。“それなら、私がやるから、まかせておいて。心配しないでいい。お母さんはゆったり構えてた方がいい”って。こっちを気遣ってくれてね、話しづらいことまで、ちゃんと察してくれる。お母さんがやったように見せかけてくれ、親を立てる。邦子に言われたことがあるよ。“人間、オギャーと生まれた時から苦を背負ってるのよ。口に出して言うか、言わぬかの違いがあっても、誰にも苦労はある。そこを、どうしていくかが、知恵のつかいどころ。あまりクヨクヨしないで、時が経てば、笑い話になる”って」
 
・茶封筒を開けて、初めて知る。33、4歳の邦子には、いろんな出来事が起きていた。私の知らない世界を生きていた。姉はそのなかで決して逃げなかった。なにもかもありのままに受け止め、自分の周囲のひとを幸せにするため、自分に出来ることはなにか、その一点に心を傾けていたような気がする。邦子は親きょうだいに悩みを打ち明けたり、愚痴をこぼしたりすることはなかった。自分の内なるものややりたいこと、仕事で判断に迷うことなどを相談し、アドバイスを求め、あどけないほど、素のままでいられる相手。深い思いやりと愛を受け、自分を育ててくれた人。それがN氏だったのではないか。悩みは苦しいはひとには見せないで、生きる力に変えてしまう。それが向田邦子式の生き方で、姉の人生の基本姿勢であったような気がするのだ。
 
秘密のない人って、いるのだろうか。誰もがひとには言えない、言いたくない秘密を抱えて暮らしている。そっとして、こわしたくない秘密を持ちつづける。日々の暮しを明るくしたり、生きる励みにしたりする。そんな秘密もある。秘密までも生きる力に変えてしまう人。向田邦子はそういう人だった、といまにして思う。N氏と秘密を共有し、人生のよきパートナーとして、お互い頼りにし、寄り添いあって、ある時期を生きた。彼が病気で倒れてからは、二人の絆と信頼はさらに深く、強くなったに違いない。N氏と生きた時間のなかで、姉がどれだけの生きる糧をもらったことだろう。大きな影響と惜しみない言葉、言葉にならないもののなかに姉は生きる糧の本質を見たのではないだろうか。そこの姉の“書く”原点があったように思う。姉に“書く”ことを気づかせてくれ、姉をうまく育ててくれた人。N氏はそいういう人だったと考えている。 v

 

いいなあ……愛って。恋って。まだ今年は「初恋」を体験していないなあ。(笑)オススメです。

 

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