- 作者: 熊田忠雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/04
- メディア: 単行本
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まずは、揚げパン、ソフトめん、赤いウインナーを始めその他もろもろ。特にコロッケとメンチを初めて食べたときのカンゲキはいまでもはっきり覚えている!そもそも山村育ちだったので、肉というものをほとんど食べたことがなかったのだ。ウナギを初めて食べたとき、焼き肉、お好み焼きを食べたときなどどれも印象深いのだ。(*^_^*)
さて、その昔、幕末から明治初期、初めて「洋食」に出会ったサムライたちは、どんな印象をもったのだろうか?その苦闘と感動の日々をつづったのがこの本。めちゃオモシロイ!(^u^)そのエッセンスを紹介しよう。
・今や東京では世界の70を超える国の料理を食べることができるという。さらに一つの国でも中国の四川料理や広東料理、イタリアのトスカーナ料理やシチリア料理のように地方色を売り物にする店もあるから、一体どのくらいの外国レストランがあるのか見当もつかない。グルメ評論家によると、その数は食の本場といわれるニューヨークやパリを抜いて世界一ともいう。しかし振り返ってみると、日本人が本格的に異国の食物、とりわけ西洋料理を口にするようになったのは、海外へ門戸を開いたほんの150年ほど前のことである。
・今改めて幕府の使節団たちの残した日記や旅行記を紐解くと、そこには慣れぬ食事に戸惑い、嘆き、苦しみ、怒りを発する場面が随所に登場する。贅を凝らし、美しく盛り付けられた料理が目の前に並んでいるというのに、彼らの口に合わず、ほとんどの者が「食するに能わず」であった。その姿には可笑しさを通り越し、哀れさすら覚える。生まれたこのかた、米、魚、野菜を食べていた者がいきなりパン、肉、乳製品主体の料理に接するのだから無理からぬことであった。もちろん短期間に適応する者もいなかったが、大半の者たちは空腹を満たすため、止むを得ずそれらを口にしたのだった。しかし何とか馴染もうと努めるものの、最後まで違和感や抵抗感を捨てきれぬまま帰国する者も少なからずいた。たかが食い物、されど食い物なのである。
本書では、日本人の西洋料理との「出会い」の歴史を通観し、開国直後から明治に至るまでの初期渡航者に絞って彼らの洋食との格闘シーンをたどってみた。彼らがいつ、どんな場面で、何を食し、その時どのように反応し、日本と異なる食文化に何を思い、そしていかに需要していったかを紹介する。
・「始め口に合う一品もなけれど、是を以て常食となさば、穀食も同じからん」(最初はどれも口にあうものがなかったが。これがこの国の人の常食とあらば、自分たちが食べる米の飯も同じであろう)
・彼らが現地の料理に馴染めないと言っている理由を大別すると三つある。一つはパンしかし、獣肉しかり、バター、コーヒーしかり、彼らが日本で見たことも味わったこともない食物が登場してきたことである。つまりそれらがどんな食べ物なのか見当がつかないという不安感であり、警戒心である。その最たるものが肉類であった。二つ目は料理の発する臭いである。牛乳・バターなど乳製品の臭いであり豚脂の臭いであった。三つ目は味付けである。ほとんどの者が塩気不足を指摘している。醤油に慣れ親しんだ日本人の舌には物足りなかったものと見える。
今やふつうにいろんな国の食べ物を食べているけど、先人たちは苦労したんだね…。(+_+)日本にいながらにして食べ物を通じて世界旅行が出来る幸せに感謝しないとね。オススメの本です。(^^♪