「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜水嶋ヒロの話題のデビュー作!…『KAGEROU』(齋藤智裕)

KAGEROU

KAGEROU

ちまたで話題の俳優・水嶋ヒロの処女作で、第5回ポプラ社小説大賞受賞作。新しいモノ好きの私はさっそく読んでみました。(^u^)


主人公は、人生に絶望し自殺願望のあるヤスオ。彼の前に現れたのは、黒服の男、キョウヤ。命の十字路で二人は、ある契約を交わす。そして心臓病の美少女・茜(あかね)との出会い。哀切かつ峻烈な「命」の物語。 …と内容紹介には書いてあるもののいい意味で裏切られました。シリアスで重い内容かと思っていたけど、ユーモアもありなかなかのモノ。はじめてにしては、文章力もあるしボキャブラリーもある。さすがというカンジ。その中の気に入ったフレーズを紹介しよう。


わずかなオカネのために自分の命を断とうとする人もいれば、少しでも長く生きるために何億というオカネを惜しげもなく払う人もいる。同じ人間なのにどうしてこうも違うのだろうと。人間の命はみな平等じゃないのかと。生まれてすぐに死んでしまう子供いれば、なにもしないで百歳まで生きる人もいる。たった数十円ぶんのワクチンや薬が買えなくて死ぬ人もいれば、若返りのための美容整形に途方もないオカネを注ぎこむ人もいる。死にたくて仕方がないのに死ねない人。生きたくても生きていけない人。


・人間は基本的に目に見えるモノを信用する生き物だと思いますが、ガンや心臓病などの第三者が目に見て判る病気で死ぬのはよくて、どうして『心が砕けた』『生きる気力がなくなってしまった』という原因で自らの命を絶つことだけが避難されてしまうのか判らないと感じるようになったんです。


・「いまごろになってようやく気づいたんだけど、『死にたい』って、裏を返せば『生きたい』ってことなんだよね。死にたい気持ちが強いからこそ生きたい気持ちも強くなる。最期に夢の中のオフクロがそれを教えてくれた気がするよ」


・「『明日はもう生きられないかも』って思いながら生きてるとね、今日の日がどんなに大切で、貴重で、特別な一日かがよくわかるの。なにを見ても聞いてもキレイで、感動的で、愛しくて、空を飛んでいく渡り鳥の群れや公園でじゃれあってる仔犬を見てるだけで自然に涙が出てくるの」


もし、ヤスオじゃなくてキョウヤが主人公だったら?と考えると「うーん…」とまた違った気づきが得られる。結局2回読んじゃいました。いろいろな感想があると思うけど、私は秀作だと思います。オススメです。(^o^)