- 作者: 高倉健
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/12/22
- メディア: 文庫
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その健さんがエッセイを出しているとは知らなかった…。ニッポン放送のラジオ番組の、原稿や対談をまとめたものなんだけど、健さんの人柄が伝わってくるような珠玉のエッセイ集。私の明治大学の大先輩だということは知っていたのだけど、相撲部だったとは意外でしょ!?その中で特に響いたエッセイを紹介しよう。
・『寒青』
最近好きな言葉があって、
腕時計の裏蓋に、その言葉を彫ってもらいました。
「寒青」……。「かんせい」と読む。
中国語で何と発音するのか知りませんが、
漢詩の中の言葉で「冬の松」を表すそうです。
凍てつく風雪の中で、
木も草も枯れ果てているのに松だけは青々と生きている。
一生のうち、どんな厳しい中にあっても、
自分は、この松のように、
青々と、
そして活き活きと人を愛し、信じ、触れ合い、
楽しませるようにありたい。
そんな風に生きていけたら……。
とても好きな言葉です。
・『感動』
〜中略〜
人間にとっていちばん寂しいのは、
何も見ても、何を食べても、何の感動もしないこと。
感動をしなくなったら、人間おしまいだと思うんですね。
こんなに寂しいことはないと思います。
人間にとっていちばん贅沢なのは、心がふるえるような感動。
お金をいくら持っていても、
感動は、できない人にはできません。
感動のもとは何でもいいんじゃないでしょうか。
美しいとか、旨いと感じるとか、
一日に一回でいいから、我を忘れて、立ち上がって、
拍手ができるようなことがあればいいですね。
今の世の中で、こんな幸せなことはないんだと思います。
一日に一回では、多すぎるかもしれません。
一週間に一回でもいいですから、
心が感じて動けることに出会いたい−。
とても贅沢だと思いますが、
感じることをこれから探し続けたいと思ってます。
…ん…なんかいいなあ…。コトバのひとつひとつが深く響いてくる感じの本。おススメです!(^v^)