「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「高倉健インタヴューズ」(文・構成 野地秩嘉)


俳優・高倉健。日本が誇るトップスターだ。明治大学の大大大先輩でもある。健さんは映画にしか出演しない。テレビのバラエティはおろかドラマにも出ない。インタビューにもあまり出てこない。スターの名にふさわしい仕事の態度を保っている。


さて、この本は貴重だ。18年かかって作られた。ほとんど取材を受けない高倉健が認めた貴重なインタヴュー集なのだ。


初めて語った「何度も見た映画のこと」、一言一句、僕のセリフへの想い、日本人の心を射止めた「名言」分析、「あなたへ」最後の映画俳優の演技、……ほか、ファン待望の永久保存版「発言集」 など。そのエッセンスを紹介しよう。


映画に出るときの基準はまず、ギャランティがいいこと、それかれ、拘束時間が短いことの二つです。ほんとです。あと、僕は二つの仕事を同時にはやりません東映にいたとき、最高で年間十五本撮ったことがありましたけど、そのときでもダブってやったことはない。そこだけは自分のけじめにしてます。しかし、出る作品を自分の判断で決めるというのたいへんですよ。不安ですしね。やりたいと思う仕事がこなければいつまでも待ってなきゃいけないわけですから、それは不安です。


・あれ(八甲田山1977年)のときはもう、仕事を通り越してました。三年の間、コマーシャルもやらなかったし、雑誌のインタビューにも出なかった。あれ一本にかかりきりでした。


・わがままな仕事のやり方してるから、ほんとにお金には縁がないんですが、それでも、ときどき欲しいなあと思ったものは身分不相応なものでも買っちゃいます。それでも絵が一枚と日本刀が10本くらいのものですけど……。


山田洋次監督に「芸術というものは、どういったものだと思われますか」と質問したとき、こう答えてくれました。「何度見ても聞いても飽きがこない。それだけでなく、それに接した人が、自分も自分の世界で頑張らなきゃいけないと励まされるようなものが、芸術ではないでしょうか」と。
演技だってそうじゃないでしょうか・大声で訴えかけなくとも、気がこもってさえいれば、観客に伝わります。僕は気のこもった演技をやっていければと思っているんです。


・選ぶ基準ですか?もちろんホン(脚本)の中身を読んで決めるのですが…。僕はギャラの額を大切にします。どれだけ僕のことを必要としているのかはギャラでわかりますから…。それと出演するときには、出演料、再使用のお金、テレビでの放映、ビデオやDVDまですべての権利をひとつでも多く頂きます。そして撮影に入る前から多くのものを背負っていれば、励みになりますし、自分を追い込むことにもなる。「今日はつらいから撮影をやめる」なんて絶対に言えなくなります。


・本当に嬉しい、もしくは悲しいと感じたとき、人は「嬉しい」とか「悲しい」なんて言葉を口にするでしょうか。僕はしないと思う。声も出ないんじゃないか……。


(撮影中に気をつけることは)体のことです。病気とケガが一番怖い。僕は八甲田山、南極、北極……といろいろなところでロケをしましたが、撮影が中止になるようなケガや病気をしたことは一度もない。まあ、これはあまり他人に言うべきことじゃないのだろうけど…。


・ロケに行くと、水が変わり、食べ物が変わり、寝る所が変わります。けれども俳優はどんなところへ行っても、いつもの自分で、しかも平常心でいなきゃいけない。それには気を使います。だから僕は南極や北極へは水も食べ物もすべて用意していきました。自分が普通の状態で演技ができるように。


撮影が終わった今でも僕の緊張は続いています。思えば出演する映画を決めるときから、撮影中、封切りに至るまで、緊張はずっと続く。確実にストレスです。でも、仕事をするということはきっとそういうことなんです。僕がやっているような映画俳優という仕事は緊張の続く、体にはよくない仕事。そういう仕事を選んだのは僕自身です。少しも後悔はありません。


・(どれだけ長時間の撮影であっても、彼は腰を下ろして休憩することはない)癖ですからね。何か座っちゃうと緊張が…。こう持続できないというか…、あんまり無理してるんじゃなくて、なんとなくそのほうが仕事をしてるって感じます。スタッフや共演の方たちが寒い思いをしているのに、自分だけ、のんびりと火にあたっているわけにはいかない。


・僕には妻も子もいません。たった一人の、百パーセント外食の生活です。よく知らない人とは一緒にメシを食わない。食事をしながら仕事の話をしない。きらいなものは食べない。


人生で大事なものはたったひとつ。心です。


はあ…深い…。健さんの映画を見たくなりました。しばらく見てないなあ。超オススメです。(・∀・)