「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜社会派ミステリーの傑作…『幻夜』(東野圭吾)

幻夜 (集英社文庫)

幻夜 (集英社文庫)

またまた東野圭吾。800ページにも及ぶ大作。だがぐいぐいと読ませる筆力はさすが。

1995 年1月17日未明。阪神大震災の混乱の中で、水原雅也は衝動的に殺人を犯した。その一部始終を、新海美冬という女が見ていた。やがて二人は、自分たちの人生をやり直そうと東京へ向かう。美冬との愛だけを頼りに生きる雅也、己の栄達だけを追い求める美冬。過去を捨てざるをえなかった男と女の、壮絶なドラマが始まる…。

ドラマ化もされた白夜行の続編とも思われる。そしてラストにかかるにつれ、松本清張砂の器を彷彿させる。ん〜、面白すぎ!(^^♪

美冬の成功のために手段を選ばぬ、非情なやり方と雅也へのクロージング力エンロール力、分かっていながらずるずると従わずにいられない雅也の男の弱さの対比がお見事だ。そして次の言葉が胸に突き刺さる。


美冬 「ねえ、昼間の道を歩こうと思たらあかんよ。あたしらは夜の道を行くしかない。たとえ周りは昼のように明るくても、それは偽りの昼。そのことはもう諦めるしかない。」

雅也 「どうしてだ、美冬。なぜ裏切った。なぜ俺の魂を殺した。自分たちには昼なんかないとおまえはいった。いつだって夜だといった。夜を生きていこうといった。それでもよかった。本物の夜ならよかった。だけどおまえはそれすら与えくれなかった。俺に与えられたのは、すべて幻だった。」