「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

MESSAGE〜「阿久悠の詞と人生ー奇跡の力ー」(吉田悦志)

 

母校・明治大学の良いところは、OBのつながりの強いところだ。先日港区地域支部の総会が行われた。いつもながら諸先輩、後輩とのひとときは本当に楽しい。その中で明治大学名誉教授の吉田悦志先生の講演が素晴らしかった!!!阿久悠先輩のことはけっこう知っているつもりでいたが、知らないエピソードと分析が実に面白かった。そのエッセンスを紹介しよう。

 

 

・1999(平成11)年9月16日帝国ホテル「富士の間」において開かれた紫綬褒章を祝う会」の席上。62歳の阿久悠本名:深田公之(ひろゆき))は珍しく懐古的な口調で、来し方の作詞家生活を語った。解雇を嫌った阿久悠にすれば、余程のことだ。それは阿久悠を支えてくれた三つの言葉についてであった。

 
「おまえの歌は品がいいね」という父・深田友義の言葉(品格の力
 
「君の文章は横光利一を思わせる」という小学校の伊藤昌隆先生の言葉(表現の力
 
「あなたは大丈夫よ」という妻となる前の小島雄子の言葉(応援の力
 
この三つの言葉が自分の詞と人生を支え続けてくれたと。阿久悠をの詞と人生における『奇跡の力』だと思う。
 
・映画極道の妻たちの主題歌であってもヤクザは描かない一対の男女が到達する至高の愛の讃歌を描く。和田アキ子が歌った名曲「抱擁」である。あるいは大日本帝国という戦争映画の主題歌も、戦争を描かない美しい日本の山河やそこに生きる日本人の魂を詞に書いて五木ひろしが歌う『契り』阿久悠の詞は、法や秩序を突き破ることはない。時計の振り子がどんなに振り切れようともフレームを破壊的に突き破ることはない。
 
・中学二年の時結核を患った。天井を見つめながら深田少年は脅威の想像力を養ったひとつの単語「蝶」の連想ゲームをするように。「浮気者、短命、はなかい、ホステス、ストリッパー、蜜、標本。コレクター。マダム・バタフライ。花畑。弱い。誘惑。貴族。売春婦。刺青。ステンド・グラス。灯。パリ。ニューギニア。靴下どめ。モスラミヤコ蝶々。原色。快楽。溺れる。」という言葉の乱舞を想像力によって脳裏に刻む喜びを知った。
 
・また転居を繰り返した経験が、移ろって行く人を描く作詞家にした。都はるみ「北の宿から」石川さゆり津軽海峡・冬景色八代亜紀「舟唄」も、描かれる女や男はみな移ろって他所へ行く。宿から出て行き、海峡を渡り、中腰で酒をポツポツと飲む。彼らが深田少年の心の姿と重なる。
 
・高校の教師に大学の志望校を問われた。明治大学だと答えたが、志望理由を聞かれた。そこで「校歌が好きだから」と返事をしたため、不真面目な答えだと叱られた。
 
・卒業後、広告代理店宣弘社に入った。そこで小島雄子と出会う。女医社員たちに深田公之の評判は芳しくなかった。暗いとか貧乏そうとか分からなさそうとかいうネガティブな印象を持たれた男子社員の筆頭が阿久悠だった。そんな時後輩の社員に小島雄子がいて、深田にあなたは大丈夫よ」と声をかけた。応援の声が阿久悠の背中を押した
 
阿久悠は、あらゆる人たちに「応援歌」を贈り続けた五千曲に及ぶ詞から応援歌でないものを探すのは難しい。中にある女性や男性が、人生をリセットして生き直す、いわゆる立ち直りの歌が多い『ジョニィへの伝言』では、「あなたは大丈夫よ」。応援の力が「わたし」を押す。ピンポンパン体操を幼い子供たちに贈り、「青春時代」を心に棘ばかり抱える青年たちに贈り、「青春時代」を心に棘ばかり抱える託つ人たちに贈る。阿久悠の応援の力は奇跡である

阿久悠の詞と人生ー奇跡の力ー

https://www.youtube.com/watch?v=ANJRDPTFhaU

 

吉田先生の講演で勇気づけられた。応援の力をいただいた。ああ〜!もっと話を聞きたかった〜!!!!偉大な先輩を誇りに思う。「流し」でも阿久悠先生メドレー」を組み立てよう。(^^)