「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「書き下ろし歌謡曲」(阿久悠)



明治大学出身の大先輩でもあり大作詞家の阿久悠氏。(・∀・)

5000曲を超える曲の作詞をしたのだが、ちょっと思い出しただけでもスゴイ!

「白いサンゴ礁」「ざんげの値打ちもない」「また遭う日まで」「街の灯り」「五番街のマリーへ」「宇宙戦艦ヤマト」「時の過ぎゆくままに」「北の宿から」「津軽海峡・冬景色」「気絶するほど悩ましい」「時代おくれ」『時の過ぎゆくままに』「青春時代」「熱き心に」そしてピンク・レディーの数々の曲。(・o・)!

ヒットメーカーの名をほしいままにした作詞家が,100編の詞 を一挙に書き下ろすという放れ業をなしとげた.時代を捉える言葉をつくり続けてきた著者の新たな挑戦,そして語りだされる歌謡曲論。〈詞〉がいま甦り,光り出す。特に感動した、まえがきと一篇の詞を紹介しよう。


前略

歌が空を飛ばなくなったと申し上げたことがあります。もう十五年も前になりますか。

また、ヘッドホンで聴く歌は聴くにあらず、点滴であると危惧したこともあります。

そして近くには、ミュージックはあるがソングはない、です。

ずいぶん、嘆きつづけているものです。

特に、ソングはないということは言葉がないということで、これはいささか、はやりすたれとだけ云っていられない気持になります。

何とか、何とかと思っておりましたら、幸いなことにでしょうか、不運にもでしょうか、

内なる衝動が起こりまして、百篇の詞を書き下ろしました

「書き下ろし歌謡曲です。

謡曲における書き下ろしとは、作詞家による秩序破壊です。

作品の独断専行でもあります。

ソングと言葉のためにドン・キホーテを演じました。

よろしくご理解の上、どうぞ、まずは読んで、よしと頷いていただけたら幸いです。


1997年7月 阿久悠



処女航海


きみを乗せて 月の海をクルージング
きみの名のついた 白い豪華船

波は歌う 愛を揺らす籠のように
きみの裸体には 光る月の影

処女航海は 愛と船と
はるか彼方の未来をめざす
処女航海は 夢と船と
そして 希望を迎える朝へ
きみは うねる きみは 跳ねる
きみは 染まる きみは 歌う

きみの吐息 晴れた空の雲になって
やがて 鳥になる
白い鳥になる

朝の光
あびて眠る きみは天使
揺れる乳房には すでに花の色

処女航海は 愛と船と
燃えるエロスを運んで走る
処女航海は 夢と船と
未知のめざめに おののきながら

きみは うねる きみは 跳ねる
きみは 染まる きみは 歌う


「酔いどれマリアが歌う店」「すっぴんで勝負しな」など、心に残る作品ばかり。うーん…この詞に曲を付けてみたい!オススメです。(・∀・)