この本はいいわー!すごいわー!短いけど、どのページもメモりたいフレーズが満載だわー!!!さすがは松本隆っ!!!時代を言葉で切り取ってるねー!そのエッセンスを紹介しよう。
・詞的な要素って日常の中に転がってるでしょ。iphoneで自分なりにパパっと、そんなにシリアスにならないで写真を撮るでしょ。で、それをものすごいシリアスに磨いて広げていくと歌の詞になる。その原型は雲の形であったり、木の陰であったりするわけ。それを僕が見にいくっていうのも、ひとつの詞。そのまんまでは詞にならないけども、いろいろと比喩を使ったり、磨いたりしていくと、ひとつの作品になる。その日常をSNSで提示してるっていうのが、僕にとって生きてるっていうことになる。
・美味しいものがあったら、写真を撮りたいっていうのは本能だし、その写真をみんなに見せたいっていうのも本能。別にそれで何がしたいってわけじゃない。
・そうやって、すべてが自然に淘汰されていく。そういうのは全部、「ときのふるい」。「ときのふるい」は残酷なんだよ。
・(才能について)神様から借りてるもの。だから、命と同じだね。自分固有のものとは思えないんだよね。死ぬときに返すもの。大小あるけど、必ずなんかの才能はみんなあると思う。ただ、向き・不向きがあるじゃない?それがたまたまピッタリ合ったときに、爆発的に加速する。それが僕の場合は歌詞だったっていう。
・恋愛も仕事もいろんな失敗は偶然って思い込んでいるけど、自分のための必然だったのかもしれない。そう考えると偶然じゃないから、そうなった原因を反省するよね。
・ビートルズでこけるのね。こけるっていうのは、頭でっかちの価値観が変わるそこからロック一辺倒になっちゃった。なんでもいいから、どうしてもロックをやりたかった。ビートルズは日本だと64年にデビュー。あんなに世の中が変わったのを見たことないくらい、本当に変わったね、武道館も行ったんだけど、かっこよかった。最初から自分たちのペースで、自分たちが好きなことをやろうというふうだったのは、ビートルズに教わったんだと思う。
・不安はあるよ。でも、生きてて、孤独に負けると、何もできないじゃん?だから、孤独には常に勝ってないといけない。寂しかったら、それに勝たないといけない。
・僕には座右の銘があって、いちばん重要なのは物語。それは作詞家だからそうだというわけじゃなくて、人生にとって重要なんだと思う。太宰治とか宮沢賢治とか、みんな物語を持ってるでしょ?芥川も、中原中也も。物語って、言い換えると、生きてる意味みたいな。そこに深みがある。傑作はみんな作れるんだけど、深みのある傑作はつくれない。ごく限られてる。なんでごく限られてるかっていうと、つくってる人がその生きる意味を知ってるからだと思う。なんで自分が生きてるのかって説明できない。でも、なんとなく知ることはできる。なんとなく知った人間には物語がある。そんなふうに思うの。
・「ストリーミングってインフラじゃないか?」と思ったの。つまり水とか伝記とかガスとかと同じ類い。水がないと困るのと同じくらい、音楽がないと困る。眠る前にちょっと聞いて、心を落ち着けて、ベッドに行く。そうじゃないと眠れないとかさ。
・なんで選ぶかっていうと、声。歌の上手い下手もあんまり関係ないの。上手くても売れない人ってたくさんいる。きっとおもしろくないんだと思う。じゃあ、何がおもしろいかっていうと、声質かな。太田裕美の場合は、一見欠点なんだけど、舌っ足らずな感じがすごくよかった。あと楽器が弾けるってこと。
・筒美京平ほど洋楽に詳しい人はいないの。どんな音楽評論家よりも情報が早くて、レコードの枚数も半端じゃない。レコードって溝から溝に飛ばすってすごく大変でしょ?ガーギーっていって、レコードを傷つけちゃう。京平さんはその飛ばし聞きがすごく上手で、僕は隣でそれを見てたことがある。京平さんは自分のイメージのこういうメロディにしたいというのがあって、イントロを探してるの。だから10秒とか15秒しか聞いていない。イントロを聞いてサビまでいってないのに、これはいい曲、悪い曲って瞬間的に判断してた。
・ど真ん中に豪速球というのに憧れる歌謡曲の詞を書いても、それを狙う。いつも自分に言い聞かすのは「カーブでごまかさないように」っていうこと。
・僕は80年代、人の100倍働いたから、今は遊んでる。自分は働かなくても、自分が生み出した作品というのは子どもたちで、子どもたちでが自分で働きだしている。僕が生んだのは、あくまで一部。その子どもたちがしっかりしてるから、その子たちがまた子どもを生んで、というふうに「Trees」が広がってく。
・失恋した直後っていうのは、コップの中に汚いものがいっぱい入ってて、どうやって掬いあげても、それは気持ち悪いものなの。でもある程度時間が経つと、底に汚いものが沈んで、上澄みができるから、その上澄みを使って何かをすれば、それはとってもいい薬になる。恋はしてなくても、恋はどういうものなのかって忘れなければいいわけだから。きっとみんな、忘れてるだけだよ。忘れて上書きしちゃうんだよ。劣化した何かを。
・戦友みたいなものはあると思う。一緒に何かをつくったり、何かをやろうとして一緒に戦ったっていう。だからそれは、はっぴんえんどの3人。そういうのを若いときにやると、ほぼ永遠になる。相手が死んじゃっても、それは続く。全然会わなくてもまったく問題ない。友だちは友だち。永遠に続くの。
いいなあ。深いなあ。ひとつひとつが詞だなあ。かみしめて聴きたいね。超オススメです。(σ・∀・)σゲッツ!!