一日一冊一感動!小野塚テルの『感動の仕入れ!』日記

タイトルは、『一日一冊一感動!小野塚テルの感動の仕入れ!』日記。 毎日の読書、映画、グルメ、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。(ときどき「酒場のギター弾き」「B級グルメ」も紹介します)

「エンプティスター」(大崎善生)

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エンプティスター (角川文庫)

エンプティスター (角川文庫)

 

最近、全作品読破を狙っている大崎善生さん。いいなあ、いいんだよなあ!「聖の青春」などの将棋関係の本はもちろん、恋愛小説もいい!繰り返し読みたくなるっ!パイロットフィッシュ」アジアンタムブルーに続く三部作の完結編。

 
「恋人の七海と別れ、山崎隆二は途方に暮れていた。成人雑誌の編集部も辞め、校正者として無為に過ごす毎日。そんななか、七海の友人で行方不明になっていた風俗嬢の可奈を見たという噂を聞き、山崎は鶯谷へ向かう。彼女には会えなかったが、やがて「助けに来て」とすがりつく電話がかかってきた。山崎は囚われの身となっている可奈を救うため、海を渡った……。透明感あふれる文体で感情の揺れを繊細に綴った、至高の恋愛小説」そのエッセンスを紹介しよう。
 
水槽の水はポンプによって吸い込まれフィルターを通ることで物理と化学的な濾過をされ再び水槽に戻るという循環を繰り返すそうすることによって水から蛋白質アンモニアといった不純物が徐々に分解され水は透明度を増していく。では時間はどうなのだろうと僕は考える。時間もまた僕の周りを流れ続ける。流れ続けることによって時間は記憶へと分解されていく。記憶となって巡回しながら、不純物がとり除かれやはり透明度を増していく。
 
失うことは構わない。別にそんなにめずらしいことでもない。しかし案外面倒くさいのは、何かを失ってしまった新しい自分を、また再び生きはじめなければならないということにつきる。
 
「元祖責任者 早乙女まどかの これで 勘弁してください」
 
・45歳になった自分は、失ったものに囲まれていた。僕が立っている場所が絶海に浮かぶ孤島だとすれば、その周りを取り囲む圧倒的な広さの海は僕が失ったものだった。それはまるで人間が喪失によって象られていることを暗示しているように思えた。何かを得たからではなく、失ったものたちが僕という人間の形を作り上げている。
 
「人間の本質って管。ホースというよりもやっぱり管ね。」「じゃあ、人間と人間の関係は?」「摩擦」「愛は?」「摩擦熱。管と管の間に起こる」
 
・その感触ー。七海ではない。もっともっと前の古いレコードのようなガサガサとした乾いた感触胸の奥深くになるターンテーブルに置かれた30センチのレコードにダイヤモンドの針が落ち、ぽそりと音を立てたような気分だった。忘れかけていた33回転の音質。まるでマッチの煙を吸い込んだときのように苦く苦しい恋の感覚。僕はミリョンを見て、その時の姿の向こうにある何かを探しているレコード針に引っ掻き回されるくすぐったいような痛みを微かに感じながら。
 
・彼女との別れの苦しみの中で、それに耐えていく過程で、おそらく僕の中にこれからの人生の時間のすべてが暇つぶしに過ぎないという諦念が生まれてしまったのだ。そして驚いたことに、その感覚は消えていかなかった。まるで薄い皮膚のように僕の体に貼りつき、剥がれなくなってしまっていた。あれは僕にとってはじめての真剣な恋だった失うわけにはいかなかった。
 
・その後にも僕は何度かの恋をした。しかしそれらと由希子のことは、うまく言えないが何かが違っていた。僕は由希子と付き合うことではじめてこの世界の理屈を知っていった。世界が開けていくような感覚を味わっていたそれは中学のころに懸命に周波数を併せて、子供部屋のベッドの中でザ・ビートルズを聴いていたときと同じような胸の膨らみを感じさせた由希子を思い出すとき、僕の頭にはいつもビートルズの曲が流れている。
 
「相変わらず星は空っぽなのかな?」
 
解らないことを解ろうとするから人間は苦しまなければならないのというある新聞記者の言葉が蘇ってくる。解らないことに対処する方法がただひとつ。勇気を持って受け入れること。それしかない。

 

この本で、ワタシの人生の数多い(!?)恋愛遍歴を思い出しました。いつか小説を書きたい。あっ!その前に歌を書きたいっ!超オススメです。(・∀・)

 

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エンプティスター (角川文庫)

エンプティスター (角川文庫)