「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「おろち「ステージ」」(楳図かずお)

 

子どもの頃読んだり聞いたりしたことで忘れられない作品ってあるよね。この作品もそう、楳図かずお「おろち」その中の「ステージ」。たぶん一番最初は小学校の頃だったのかもしれない。誕生50年だって。ストーリーに感動して、何度も何度も読み返してきたけど、大人になって復刻版で再読できるとは!♪ 感動だっ!!!

備忘録も兼ねて、このブログでも紹介しよう。

 

・佑一が子どものころ、毎日見ていた大好きだったテレビ番組。いつも「おはようのおにいさん」田辺新吾が出演していた。

ある日、父を迎えにいった佑一は、暴走している車にハネられるのを目撃、父は亡くなってしまった。佑一は、犯人を見た、それはおはようのおにいさんだった!!!

身辺が操作された。事件当日の田辺新吾のアリバイはなかった。その後も佑一はおとうさんを轢いたのは、おはようのおにいさんだといって聞かなった。

 

裁判では無罪。幼児であっても証言能力がないといいう根拠はない。しかし、その観察能力、記憶力、表現力…は不十分であり、内容的にも断片的なことばだけでは証言として不明確である。したがって佑一くんの証言はみとめられない、ということだった。

 

・そのとき以来、佑一はおはようのおにいさんのことをいわなくなった。無口になり、怒りっぽくなり、テレビぎらいになった。学校でも友達はひとりもいない、次第に孤立していった。母親ひとりの働きでは足らずしだいに生活は貧しくなる。

 

そんな中、佑一は、母におこずかいをせびる。レコードとプレーヤーを買うという。くれなければ給食費と学級費をためてあるからそれで買うという。レコードプレーヤーを買ってもらった佑一は、暇があるとレコードをかけた。歌手になるという

 

・夢中になったのは、花田秀次という歌手。石原裕次郎北島三郎ビートルズを足したような魅力だった。大人気となり、国民的歌手となる花田。

佑一は夢中になり、花田秀次のものまねをして、どんどん歌がうまくなっていった。

・オーディションにも受かるが、デビューするでのはなく尊敬する花田秀次のマネージャーになる。信頼を勝ち得ていく佑一。そんな中、誰かの策略で、誤って薬品を飲んでしまった(飲まされてしまった)花田は声が出なくなり、歌うことも、しゃべることもできなくなってしまう。かわりにテレビでは、花田は口パクで、裏で佑一が歌うようになる。いままでの花田秀次とはちがった魅力の新曲「男の仁義」だが、誰も佑一が歌っているとは気づかない。

 

美少女おろち。「佑一は父をひき逃げされた現場を目撃し、その犯人をタレント田辺新吾と証言したが、認められなかった。それ以来歌やスターの話題の大嫌いな子になったのに、花田秀次がデビューし、それから歌手を志すようになった。それは、佑一を受け入れてくれなかった人々や社会に対してスターという名で見返してやりたかったからかもしれない。

 

そして尊敬する花田のもとにきて、いま花田秀次のかげとなり、ステージに一歩一歩近づいた。あのときのできごとは佑一をどのような人間にしたのだろう。これからの佑一はどうなるのだろう?

 

・佑一が運転する車に乗っている花田。危険すぎるスピードに怖くなった花田は、運転を代わり、佑一が後部座席に座る。ここからがクライマックス!!!佑一の告白がはじまる。

 

もう花田秀次は、おれなしでこの世界を生きていくことはできない。すべてが計算通りなのだ!見ていろ おれをあざわらったやつら…。そして…そして…。

 

先生、ぼくの本当の名は目黒佑一。そしてぼくが三歳の時、父はひき逃げされ死んだ……よもやあなたは忘れはしまい。ぼくは犯人の顔をはっきりと見たのです。犯人の名はおはようのおにいさん。田辺新吾。つまりあなたです。

 

ぼくは待った!!このとき!!!この場所!!この状態を!!このことばをしゃべれる条件のそろう日のくるのを!!父を殺された三歳のときからどれだけの苦しみにたえてきたら、あなたにはわかるまい。ぼくはどれだけこのことばをしゃべりたかったか!

 

あなたに父を殺されたとき、三歳のぼくの証言は無効だった!!でもそれからあなたがいつわりの引退をするまで毎日テレビにかじりついてあなたを見ていた。先生のことはみんな知っています。顔の整形したことも…むかしの写真もみんな…。

 

ラストはスゴイなあ!これ、少年マンガの世界だけじゃもったいないなあ。ゼッタイ映像化して欲しい。この壮大な復讐ドラマ。日本版モンテ・クリスト伯だわー!

名作中の名作っ!半世紀前の作品とは、思えない!これを読まずに死ねない!!!超オススメです。(・∀・)