「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「平凡パンチ1964」(赤木洋一)

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初めて男性週刊誌を買ったのが、高校生のころ。15、16歳のころ、それが平凡パンチだった。「the magazine for men」というキャッチフレーズに憧れて「ああ、オレもオトコになったんだなあっ!」って思ったっけ。(・∀・)

 

さてこの本。1964年はワタシの生まれた年だよ!「日本の「六〇年代」最初のピークの年、一九六四年。銀座歌舞伎座裏の社屋から、平凡パンチは生まれた。その直前に創刊スタッフとして入社した著者は、沸騰する六〇年代文化と変貌する東京の渦中に巻き込まれ、かつ自ら飛び込み、時代のさまざまな相貌に出会っていく。時代も人も雑誌も会社も、すべてがユニークで面白かった。雑誌づくりの現場から鮮やかによみがえる、黄金時代=六〇年代のめくるめくクロニクル」そのエッセンスを紹介しよう。

 

時代が面白かった。
文藝春秋2003年9月号の「証言・日本の黄金時代」は、その時代を1964年から74年としています。戦後日本の青春といってもいい。若者の異議申し立ての時代でもありました。
 
雑誌が面白かった。
64年創刊の平凡パンチ、65年創刊の平凡パンチデラックス』(デラパン)を通して、若者たちは青春を共有しました。こういう雑誌を作った人、その会社もユニークでした。
 
人間が面白かった。
時代のヒーローたちはみんな若かった。既成概念に収まらないデザイナー、カメラマン、イラストレーターなどが輩出しました。才能を開花させる仕掛けも機能していました。
 
・雑誌はその読者とともに時代にかかわりながら、おおむね毎号消えていく運命にあります。しかし30年、40年経ってから振り返ってみると、雑誌がいかに貴重な「時代の証言者」であるかが、よくわかります。新聞や映像の記録にはない、その時代を生きた人間の体臭の記憶というようなー。
 

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平凡パンチとデラバンの創刊からかかわることができたぼくは、この二誌から見たクロニクルを書いておきたいと思いました。ぼくのいたポジションから、ぼくが見たことを。ユニークな人たちのことを。雑誌に青春をダブらせる読者のために。
 
「読者の半歩先を行け」が岩堀の口グセだった。一歩先を行くのは芸術家だ。だが雑誌は読者あってのものである。読者がついてこれないほど先を行けば、雑誌は売れない。そのことを実現してみせたのが清水である。こういう雑誌を待っていた」と読者に言わせるのだ。読者の目線にこだわる清水は、ヒマさえあればデパートを歩いていた。岩堀は銭湯に好んで通った。二人ともクルマには乗らず、電車通勤であった。
 
・交友関係の広さと多様さでも、岩堀は群を抜いていた。相手のフトコロに飛び込んでいく、天性の新聞記者魂の持ち主だったというべきか。政財界のトップから美空ひばりにまで至っていたから、これは天才としか言いようがない。岩堀のフトコロに飛び込んでくる無名の青年の面倒もよくみたという。それぞれの人にとって「知己」であり、相談役であり、コンサルタントだったはずだ。
 

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「無冠」という言葉の似合う人物であった。「戦後の大衆文化に貢献した」ということで、叙勲の対象になったこともあったが、当然のように辞退したという。
 
・岩堀は時事新報の新聞記者のころから、ひそかに私淑していた平凡社の社長下中彌三郎「平凡」という雑誌のタイトルをもらって、終戦後すぐ凡人社を創業した。平凡社が所有していた文芸誌のタイトル、それも社名を冠した誌名を譲ってもらうのだから、やはり才能というほかはない。下中はよほど岩堀を気に入ったのか、「啓明」「平凡」の二つを見せ、岩堀は即断して「平凡」を選んだという。
 
クルマに対する若者たちの熱狂はすでに沸騰点に達していたたとえ所有することはできなくても、免許だけでも持っていたい。ボウリング場と同じように、雨後のたけのこのように自動車教習所が増えた。免許証を持っている社員スタッフがほとんどいなかったパンチ編集部では、クルマの担当ができたときに社費で教習所に通わせてもらった者もいた。
 
・取材から原稿書きまで社員編集者がやることが、いいか悪いかはともかく、出版系週刊誌ではパンチ独自のものだったのではないだろうか。向田邦子も初期の習慣平凡でエース級のライターだった。ぼくが入社したときはもう、テレビの世界で脚本家として活躍していたが。
 
清水達夫(夏目咲太郎)、岩堀喜之助さん、ってスゴかったんだねえ〜!時代の息吹を感じるなあ。古本屋さんで平凡パンチ探そうかな。オススメです。

 

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