この本は、スゴイ!!!これが実話だなんて信じられない!!!「継続は力なり」を地で行ったねー!こりゃスゴイわー!(・∀・)♪
「くる日もくる日もフランスの僻村を歩くしがない郵便配達夫シュヴァル。だが彼はまた、たった一人で三十三年という歳月をかけて、自らの宮殿を現実のものとしてしまったのである。その驚くべき生涯の真実」そのエッセンスを紹介しよう。
・オートリーヴーこれは、 フランスの南東部ドローム県にある人口1500の小さな村だ。 一介の郵便配達だったフェルディナン・ シュヴァルが33年かけて建てた理想宮があるのはこの村である。 シュヴァルは、1867年から29年間、 この地域の郵便配達を勤めた。まだ車も自転車もなかった時代で、 彼は毎日、起伏の多い、葡萄畑や牧草地や森のひろがる、 退屈な同じ田舎道をひたすら歩き続けた。
・空想癖の強い人で、そうした配達の道々、 頭の中で宮殿を建てては崩していたらしい。 郵便物の中にあった世界中から送られてくる絵はがき、 当時広く読まれていた「マガザン・ピトレスク」 などの絵入り雑誌に載っていた中近東、アフリカ、アジア、 オセアニア、中南米の珍しい挿絵が、 彼の想像力を強く刺激したいたのである。しかし、 夢はあくまでも夢であり、それが現実になろうなどとは、 彼は片時も思わなかった。第一彼は、建築について、 それどころか石工の仕事についてさえ全く無知だったのだから。
郵便配達をはじめてから12年経ち、 若き日の夢が忘却の淵に沈みはじめていた43歳の或る日、 彼は配達の途中、石につまずいてころびそうになった。そのあと。 土に半ば埋もれていた石を掘り出してみて、 その不思議な形に魅せられてしまった。やがて彼は、 同種の石が受け持ち区域の道のあちこちに落ちているのに気づく。 オートリーヴの周辺は、太古は海底で、地層が古く、 奇岩怪石に富む地方だったのである。
それから彼の石探しがはじまった。仕事が終わると、夜、 彼は手押車を押し、時には5、6キロも歩いて、 昼間目星をつけておいた石をとりにいった。やがて彼は、 集めた石を使って、 長いあいだ夢に描いてきた夢の宮殿を建てようと決心する。 以来33年間、彼はその余暇のすべてを使い、 誰にも手助けを頼まず、営営として建築に没頭する。 周囲からは気違い扱いされたけれども、 彼は断じて夢の実現を諦めなかった。そしてついに完成した時、 それは途方もなく巨大な、 それを同時に人々を驚かせる不思議な建築になっていたのである。
・それにしても、なんと不思議な建物だろう! 勿論これまで写真集その他を通じて馴染んではいたのだが、 こうして実物を眼の前にすると、あらためてそう思われる。 最初私が受けたのは、建築という無機物よりも、 今にも蠢き出しそうな、或る異様で、巨大な生き物、 といった印象だった。実際、宮殿を覆う細部の夥(おびただ) しさは、人にめまいを感じさせる。それは、 葉の裏をびっしりとうめつくす幼虫の卵や、 生き物の死体に真っ黒に蝟集する蟻や蝿の群れのように無気味だ。
・宮殿は、あらゆる時代、あらゆる国の建築様式の混淆( こんこう)、もっと乱暴な言葉を使うならば、ごたまぜである。 シュヴァルは、当時見ることのできた新聞、雑誌、 書物の中の建築の写真や絵から、 エキゾチックな部分だけを手当たり次第借用した気配がある。 それにもかかわらず、宮殿全体には思いがけない統一があり、 それが宮殿を価値あるものにしている。 この統一が一体どこから生まれてくるのかは謎だが、 多分長い期間にわたる夢と想像力の合金作用のせいであろう。 ともかく彼がヴィジョンを持ち、いやヴィジョンに取り憑かれ、 それに導かれたことだけは確かである。
ここは生涯でゼッタイ訪れてみたい場所だね、実物を見てみたいねー。オススメです。(・∀・)♪