- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/03/28
- メディア: 単行本
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どんな悩みも解決してくれる雑貨店がある、その名は「ナミヤ雑貨店」。夜、相談事を書いた手紙をシャッターの郵便口から投げ込んでおけば、翌日には店の裏にある牛乳箱に回答が入っている。
「オリンピックを目指すべきか、病床の彼のそばにいてあげるべきか」、
「夢を追うべきか、それを諦めて家業を次ぐべきか」、「夜逃げをしようとしている親がいます。僕はどうしたらいいでしょうか。」…などなど。
…しかしその正体は…。物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。そのエッセンスを紹介しよう。
・「ひとつだけあなたにいっておきたいことがあります。あなたが音楽の道を進むことは、決してムダにはなりません。あなたの曲によって、救われる人がいると思います。そしてあなたが生み出した音楽は必ず残ります。なぜ、そんなことをいいきれるのかときかれたら困るけど、それは確かなことです。最後まで、そのことを信じてください。最後の最後まで信じていてください。それしかいえません。」
・嫌がらせだろうが悪戯目的だろうが、『ナミヤ雑貨店』に手紙を入れる人間は、ふつうの悩み相談者と根本的には同じだ。心にどっか穴が開いていて、そこから大事なものが流れ出しとるんだ。その証拠に、そんな連中でも必ず回答を受け取りに来る。牛乳箱の中を覗きに来る。自分の書いた手紙に、ナミヤの爺さんがどんな回答を寄越すか、知りたくて仕方がないわけだ。考えてみな。たとえどんなでたらめな相談事でも、三十も考えて書くのは大変なことだ。そんなしんどいことをしておいて、何の答えも欲しくないなんてことは絶対になり。だから、わしは回答を書くんだ。一生懸命、考えて書く。人の心の声は、決して無視しちゃいかん。
・『相談です。勉強せず、カンニングとかのインチキもしないで、テストで百点をとりたいです。どうすればいいですか。』
→『先生にたのんで、あなたについてのテストを作ってもらってください。あなたのことだから、あなたの書いた答えが必ず正解です。』
・長年悩みの相談を読んでいるうちにわかったことがある。多くの場合、相談者は答えを決めている。相談するのは、それが正しいってことを確認したいからだ。だから相談者の中には回答を読んでから、もう一度手紙を寄越す者もいる。たぶん回答内容が、自分が思っていたものと違っているからだろう。
・人と人との繋がりが切れるのは、何か具体的な理由があるからじゃない。いや、見かけ上はあるとしても、それはすでに心が切れてしまったから生じたことで、後からこじつけた言い訳みたいなものではないのか。なぜなら心が離れていなければ、繋がりが切れそうな事態が起きた時、誰かが修復しようとするはずだからだ。それをしないのは、すでに繋がりが切れているからなのだ。
・かつて雑貨店に相談をし、回答を得た方々にお願いです。その回答は、貴方の人生にとってどうでしたか。役に立ったでしょうか。それとも役には立たなかったでしょうか。奇譚のない御意見をいただければ幸いです。あの時のように店のシャッターの郵便口に手紙を入れてください。どうかお願いいたします。
個人的には、第二章の「夜明けにハーモニカを」のギターの話がジーン…と来た!そうか!オレがやっている音楽も意味があるんだなあ…。
「夢をとるか、愛をとるか。現実をとるか、理想をとるか。人情をとるか、道理をとるか。家族をとるか、将来をとるか。野望をとるか、幸せをとるか」 今、悩みを抱えている人はきっと、ナミヤ雑貨店に相談したくなるでしょう。オススメです。( ^∀^)
ナミヤ雑貨店の奇蹟 特設サイト
http://www.kadokawa.co.jp/namiya/