「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ひとを〈嫌う〉ということ」(中島義道)

哲学博士の中島義道さんの本ってオモシロイんだよね。鋭いというか、繊細というか、細かいというか。そーそーと共感することも多いよね。今回のテーマは「嫌う」だよ!♪

あなたに嫌いな人がいて、またあなたを嫌っている人がいることは自然なこと。こういう夥しい「嫌い」を受け止めさらに味付けとして、豊かな人生を送るための処方を明らかにした画期的な一冊」そのエッセンスを紹介しよう。

 

いったい、ひとを嫌うことはそんなに非難されるべきことなのか。ひとを嫌うことはー食欲や性欲あるいはエゴイズムと同様ーごく自然であり、それをうまく運用してうゆくことのうちに、人生の豊かさがあるのではないか。つまり、はじめから廃棄処分をしてしまうのではなく、「嫌い」を正確に見届けてゆくことは「好き」と同様やはり豊かな人生を築く一環なのではないか。これが、本書で私の言いたいことなのです。
 
・私はまず、われわれは誰でも他人を嫌うこと、しかもー残酷なことにー理不尽に嫌うということを教えたい。それが自然であることを教えたい。しかし、自然であることとそれを単純に容認することは別です。ここに、われわれに自然である数々のいわゆる悪の問題が広がっていきます
 
・私の経験によりますと、こうした「嫌うこと=嫌われること」ないし、「憎むこと=憎まれること」を自然に自分のうちに容認する訓練を怠ってきた人々が、大人になっても大層窮屈かつ欺瞞的な人間関係を築きあげ、それによって自分を苦しめかつ他人も苦しめるという暴力を振るうことになります
 
・私は諦めるほかないのです。そして、嫌われているということを大前提として、それを受け入れることしかないのです。この残酷さの中で生きてゆくしかないのです。
 
・私はここ一年ほど妻と息子から非常に嫌われておりますが、それは複雑怪奇な原因がありながらも、究極的には私がふたりに優しくしなかったからです。妻はこの一言(中略)で闇に突き落とされ、息子はこの一言で私を完全に拒絶し、さらに妻は「言葉で息子を殺した」と私を責めたてました。
 
・私はホテルに追放された後に、妻や息子にFAXで毎日誤り続けましたが、ふたりとも絶対に許してくれず、そのたびに妻から「愛のない人とは一緒に住めません」あるいは「あなたの言葉にはまったく誠意がありません」という返事が来るだけ。息子は「ママ、あいつにだまされるなよ」と言いながら、私のFAXをくしゃくしゃに丸めて捨てるということを知りました。今はなにをしても駄目だ、さしあたりあと20年ほど待とうという結論に至りました。
 
 
日常的な「嫌い」は、かなりの危険を秘めている。他人に訴えることができないゆえに、訴えてもわかってもらえないゆえに、かえって多くの人は精神の健康を保っていられなくなる。当人にとっては、これは世界全体が闇になるほどの事件なのですが、このことにより殺人事件、傷害事件すら起こることはあまりない。つまり、何も事件が
怒らず、だからこそ誰も相手にしてくれず、うやむやのうちに闇から闇に葬られて、本人としても溜飲が下がることがない。それに悩まされつづけ、振り回されつづけるのです。
 
「私、何も気にしていないの」という言葉にはも注意する必要があります。
 
・私がこの歳になって心から望むこと、それは夫婦とか親子とか親友とか師弟、さらには知人とか職場の同僚とかの「嫌い」を大切にしてゆきたいということ。そこから逃げずに、嫌うこととと嫌われることを重く取りたいということです。
 
 
「「嫌い」の諸段階」「「嫌い」の原因を探る」「「嫌い」の八つの原因」「相手に対する生理的・観念的な拒絶反応」「自己嫌悪」「「嫌い」と人生の豊かさ」など。
 
 
なかなか鋭いなあ。共感しちゃうなあ。この本で救われる人もいっぱいいるかもね。オススメです。(・∀・)