「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ボクの妻と結婚してください」(樋口卓治)

奇想天外なタイトルに惹かれて読みました。これが傑作!最後は涙…、涙…。(T_T)

バラエティ番組の放送作家の主人公は、余命6ヵ月を宣告された。いま、最後の企画は、妻の再婚相手を探すことだった。果たして見つけることができるのか?」そのエッセンスを紹介しよう。



・すい臓がん、残りの命は約六ヶ月だという。放送作家・三村修治、45年の人生が、番組だとあと24回で打ち切りになるのだ。「妻になんて言おう」ばかり考えていた。結婚して15年になる妻・彩子と息子・陽一郎10歳だ。妻と息子を残して、六ヶ月後には旅立たなければならない。あまりにも急すぎる。待てよ…余命のことも番組の宿題と同じように考えるといいアイデアが出るのではないか。余命も企画だと楽しく感じる。不思議だ。『妻のために余命六ヶ月をどう生きるか企画募集』これは神様のADから届いた最後の宿題なのだ


「そうだ、妻の結婚相手を探そう!」僕がいなくなっても、妻と息子が幸せに暮す…。妻と息子を愛してくれる人がどこかにいる…。妻の結婚相手を探す。今まで思ったこともなかった。そりゃそうだ、夫なのだから。でも、夫だからこそ思いついたのだ。


・やっぱり死ぬのは怖い。だから、家族が幸せに暮らしている姿を想像する。それだけで、この余命を生きられる。どうにもこうにも辛い時こそ、楽しいことを思い浮かべるのだ。この企画のルールは、絶対に妻にバレずに成し遂げるということだ。決めた。愛する人の未来に幸せを残すと決めた。


・「あのね、結婚生活に安らぎなんて求めちゃダメです。男は外で様々な役を演じる分、せめて家庭くらいは妻に癒されたい。なんて思っている人が多いけど、それは大きな間違いです。家庭こそ演じなきゃ。気を抜いちゃいけない。家のドアを開けた瞬間から演じないと。戦隊ヒーローも変身しないと怪獣に勝てない。癒されたいという理由で結婚したら後悔しますよ


・安くて美味しい中華に行ったとしましょう。一人だとラーメンを注文。付け加えたとしても餃子かチャーハン、追加は一品が限界です。でも、結婚すると2倍注文ができる。まず、前菜に腸詰を頼んで、ビールで乾杯。その後、餃子もいけちゃう。そして、ラーメンとチャーハンを頼んでも二人で分ければ食べられちゃう。その後、杏仁豆腐も夢じゃない。さらに、家族が増えるともっと食べれられる。みんなで食べると人数分、味も美味しくなるんです。家族で食べる飯は、世界中のどんな料理より美味しいんです。


・「彩子について話していいですか?取扱説明書だと思って気軽に聞いてください。彩子は朝が弱いです。低血圧のせいにしていますが寝起きは機嫌悪いです。しっかり家事もやりますが、実は、洗濯が嫌いです。気合を入れないとできないみたいです。料理は美味しいです。ロールキャベツは絶品です。今、息子の受験に必死ですが息子以上いテンパるかもしれません。意外とプレッシャーに弱いんです。そんな時に話しかけると睨んだりもします。でも…。

彩子は素晴らしい女性です。人の悪口は絶対に言いません。花に水をあげるのが好きです。自分はさておき人のことを心配する人間です。相づちがすごく素直です。心の荷物にそっと手を添えてくれる人です。そして、何よりも人の夢をバカにしたりしない人です。」こんなに素直に言葉が出てくるとは思っていなかった。そして、わかった。こんなにも妻のことが好きだったってことを…。


・彩子は気づいた。修治は近づいてくる死に対して、叫び狂うほど弱音を吐きたいのに、妻の結婚相手を探すことで必死に「楽しい」に変換しようとしていたのだ。


そして最後のラスト一行で泣いた…。いいなあ。このストーリー、映像化して欲しいなあ。それにしてもバラエティの放送作家ってスゴイなあ。感動の一冊。オススメです。(・∀・)