「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「発注いただきました!」(朝井リョウ)

この本、オモシロイわー!企業から依頼があったテーマと内容で小説を書いた作品を集めたもの。例えば、「人間を主人公とした、キャラメルが登場する小説」とか「テーマは自由だが、銀座にまつわる内容を希望」「中部地方在住の18歳たちを写した写真集「18きっぷ」の冒頭に掲載するエッセイ」など。これでストーリーをひねるんだね、プロの作家ってスゴイなあ!♪
 
「これが本当の「お仕事小説」だ!直木賞作家・朝井リョウが、名だたる有名企業からの「ご依頼」に応えに応えた作品集!発注内容→作品→感想戦と、赤裸々な構成でお届けします。桐島、部活やめるってよでの鮮烈なデビューから10年。著者の元には様々な企業からの原稿依頼が寄せられた。原稿枚数や登場人物、シチュエーションなど、小説誌ではあまり例を見ないようなリクエストに、著者はどのように応えてきたのか!?普段は明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えての自作解説も収録。文庫化に際し、さらに1作品を追加。ある意味で「集大成」な作品集」そのエッセンスを紹介しよう。
 
企業とのタイアップ他の作品とのコラボして書いた文章を根こそぎ集めれば、1冊分になるのではないか……!?結果完成したのが、この本でございます。これで作品を書いてください」と言われると、ちょっと燃えてしまうのだ。特に、この本の中には、ウイスキー煙草、競馬、香水など、私の日々の暮らしに馴染みのないアイテムがテーマになっている作品も多く収録されている。そうなると、これまで書いたことのないシーンや感情が生まれることも多く、単純に楽しい。タイアップやコラボというのはの実にいいトレーニングになってい実感がある。
 
「…これ食べ終わったら、ちょっと、俺の話聞いて」掌には、一粒のキャラメル。私には、小さなタイムリミットが置かれた掌が熱くなるのを感じた。こんなにも冷房が効いているのにおかしいなと、自分で自分にとぼけながら。(「タイムリミット」森永製菓 きゃらめが登場する掌編)
 
「そういえば、いいお父さんになりそうな人ランキングってのだけ、一位になってたかな」口に運んだグラスからは、これまで私の嗅いだことのない、だけどすごくいい香りがした。(「蜜柑ひとつぶん外れて」アサヒビール 「ウィスキーって、おもしろい」を伝えられる小説)
 
・「現代の人間が失ってしまった一番の感情は、待つ、という心だよ。大丈夫って、信じて待つこと、将棋も人生も同じ。ゆっくり目を閉じて、次の一手を落ち着いて考えることが大事なんだ」口の中で、飴玉が転がる、鼻腔は、祖父の家独特の香りを感じ取っている。「多くの人が失っていくものを、お前も一緒に失ってはいけないよ」(「あの日のダイアルサッポロビール「エーデルピルス」という商品の価値を広められるような文章」)
 
「自信があれば、騙せるもんだよ。マジックと一緒」一条はそう言うと、胸ポケットの膨らみをひとさし指でトン、と突いた。
 
一条君、騙し通したね。でも、人生ってそういうものだよね、きっと。自信もって、堂々としていないと、騙せるものも騙せないよね」
 
(「胸元の魔法」JT たばこが作中に登場する「人生の相棒」をテーマにした小説)

 

いいなあ。これ、やってみたいなあ。書いてみたいなあ。やっぱりプロってスゴイなあ。オススメです。(・∀・)