酒場のギター弾き 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「「ガロ」に人生を捧げた男 全身編集者の告白」(白取千夏雄)

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いいなあ、この本。こんな本との出会いがあるから、読書はヤメラレナイっ!!!やっぱりワタシはマイナー思考だなあ。これじゃ「酒場のギター弾き」は、メジャーになれないなあ。なるつもりもないけど。(笑)
 
漫画雑誌『ガロ』休刊の内幕。漫画家である妻、やまだ紫との愛と別れ、そしてガン闘病。80年、90年代の出版業界とネット黎明期を生きた編集者の感動の告白」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・日本の漫画界、サブカルチャー史上極めて大きな役割を果たした雑誌「ガロ」これは編集者としての俺の始まりでもあり、ある意味、青春を捧げたような大きな存在だった。「休刊届け」まで、俺が見てきたこと、体験してきたことが、俺が死んで「なかったこと」になってしまうのは我慢ならないんだよ。余命宣告されて、死ぬ前に肉声を残しておかないと。青春時代からずっと間近で見続けてきた「ガロ」を語ろうと思った次第です。
 
漫画が上手くなりたいんだったら、まず徹底的に模写をすべき。それもできるだけ自分と違う、いろんな絵柄の模写を積極的にすべき。好きな作家の絵ばっかり模写していると、その人の絵しか書けなくなるからね。
 
・編集長・長井勝一さん「いい漫画を描きたかったら、いい漫画を読むこと、いい映画を観ること、いい音楽を聴くこと、いい小説を読むこと」。俺なりに解釈するといろんないい表現に触れないと感性が育たないから、いい表現なんて生み出せないよ」ということだろう。表現に貴賎はない」というのが、それ以来ずっと俺の哲学。漫画だから低俗で、小説だから高尚…なんてことはない。創作とか表現ってのはすべて等しく、それそもののの価値で評価されるべきだ。
 
「漫画家の力」は、目の当たりにすると、本当に言葉を失う。水木先生なんて隻腕だけど、ほんの一瞬で、一筆書きかというくりあの速さで鬼太郎と目玉おやじと「水木しげる」ってサインまで書いちゃう。筆記用具を選ばず、紙を選ばず、その場で何も見ずに、当然下書きもなく、たった数秒で、一目見たら「この人だ」って分かる絵を描く。これが「漫画家の力」だと思った。俺はこんな高みにはとても到達できないと思ったよ。
 
・毎月毎月「ガロ」は赤字だし、長井さんなんてよく窓の外を見ながら「『ガロ売れねえなあ』なんて言っててさ。それを経理だった香田さんが、パチパチそろばん弾いて伝票を見たまま売れないのはおまえのせいだ!』なんつってね。くわえタバコで。もうおかしくて笑いこらえるのに必死だったよ。「ガロ」が原稿料を出せていなかった状態は、商業出版社として正常じゃないということは当然みんな分かっていた。
 
・長井さんの編集哲学の根底にあるのは「漫画家への尊敬」だった。作品を生み出すのは作家。編集はそれをいかにスムーズに出させたり、詰まっているところを解消してあげたり、あるいは何か聞かれたらヒントになるような言葉を出してあげたりという役目でさ。
 
・ちなみに「ガロ」っていう誌名は白土さんの忍者漫画に出てくる心優しい忍者大摩のガロ」から取った、というのが定説になってるね。
 
編集というのは「理詰め」なんですよ。作家さんは「感性」で作っていい。それが「作家性」だから。どんな気持ちでこういう作品を描いたんですか」って聞くヤツ。そんなの説明できるわけないじゃん。それがいいと思ったから、描きたかったから、思いがあったから描いたんだよ。作品が答え」なのに、それに説明を求めるのは野暮だよね。でも編集は違う。編集はやることに理屈をつけられなきゃダメなんだ。で、俺はそういう編集者的な仕事に自分の性格が合っていたんだよね。理屈に合わないことが嫌い。だから俺は「感性の人」じゃなかったんだよ。作家には永久になれない人だった。
 
・「ガロ」からフリーで羽ばたいていくというのは「ガロ」という、ある意味では凄い講師陣のいる、実習の素晴らしい「大学」を卒業するようなものだし、その先輩には南伸坊さんや渡辺和博さんがいて、活躍していたわけだし。青林堂は当時、出版界で「赤貧堂」と呼ばれるくらい貧乏で有名でね。社員も版下作りやレイアウト、イラストなんかの他社の仕事をアルバイトで受けるのが、長井さんから黙認されていたのね。なにせ給料が安いから(笑)。むしろ長井さんは才能ある奴はどんどん外の仕事やって有名になって『ガロ』の宣伝してくれよ」ってな調子でさ。
 
・当時の「ガロ」は作家さんに原稿料を出せていなかった。ガロは原稿料を払わない」って言われてると長井さんはよく怒っていたんだけどさ。払わない、じゃねえんだよ。出したくても出せねえんだよ」って。だから俺たちも「作家さんに原稿料を借りている」という意識だった。
 
とり・みき先生。メジャー誌だと当然ながら原稿料をもらえるけど、編集さんによってはネームチェックがあって「こうした方が面白い」「こうした方が売れる」「アンケートがこうだった」とか言われることがあると。でもガロ」はそういうことを一切言わない。「描きたい」と思ったものを、ほぼ自由にそのまま発表できる商業誌は「ガロ」だけだったって。

 

ドラマチックだなあ。こんなふうに打ち込めるってスゴいよね。ワタシも作家にはなれないわー!漫画ファン必読、オススメです。(・∀・)

 

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