向田邦子の関連本、また読みました。没後数十年になるのにこれだけ本が出版されるって本当にスゴイっ!今回のテーマは、恋。しかも片思い。
「きれいな人・・・」1960年夏、24歳のぼくは、年上の女性作家に出会う。彼女の名前は向田邦子。それは21年間にわたる友情と、永遠に続く"片想い"の始まりだった」そのエッセンスを紹介しよう。
・片想いとは何か?………
ある意味で無責任な心情ではないでしょうか。 相手の心を憶測することなく、 一方的に相手を好きだと思い込んでしまうわけですから。 60年代は純情な心境と評価されていまいたが、いま思えば、 心のセクハラです。もしも、 行為が伴えば犯罪と解釈されても仕方がありません。
雰囲気美人。という言葉が脳裏に浮かびます。「 カタチが美しいオンナと言えばマネキン人形だろ。でも、 マネキン人形を抱いてもつまらないに決まっている。 オンナを抱くなら雰囲気美人だ。カタチよりも、 なんとなくそばに居たくなるような雰囲気、 抱きたいと思わせる雰囲気が大切なんだ」。
向田邦子は雰囲気美人です。だけど、そばに居たいとは感じても、 抱きたいとは思いません。いや、 オトコに抱きたいと思わせないなにかを彼女は発散しているような 気がしてなりません。それは一体なんなのか、 答えは出てきません。
・「恋って辛子や山葵や唐辛子みたいなものだと思うけどなあ。 それだけ食べても辛いだけで耐えられないじゃない。 ステーキや刺身と一緒に食べるともう最高。わかる? 恋だけしても美しくない、逆に恋心なしでオトコを抱いても、 美味しくないジャン」
・「目を開いて物事を凝視するのと、 目を閉じて物事を妄想するのと、どちらが大事だと思う? 私は妄想を大事にする。人生、そんなに長くないでしょう。 一日の体験と一日の妄想では、どちらが心が豊かになれるかしら」
・「使い込んでさ、使い勝手が判った時分になると、 あきてポイなんだから……」(『隣の女』での桃井かおり)
・「本気で憎み合ったら、血のつながっている方が凄いって」(『 幸福』での竹脇無我)
・「男と女ってのは不思議だね。 十年二十年馴染んでもどこかにスキ間風の吹いていることもある。 一瞬の触れ合いでも、死ぬまで忘れられない花火が……、 気持にも、体にもやきつくことがあるんだねえ」(『幸福』 での竹脇無我)
・「あたしはねえ、恋って我慢することだと思う。 耐え続けることって言ってもいいかな。 耐え続けることが恋ならば、究極の恋って片想いじゃないかしら」
……わかるなあ……片思いのほうがよかったってことが。この年になって。長篇のラブレターです。オススメです。(・∀・)