酒場のギター弾き 小野塚テルの『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「夜中の薔薇」(向田邦子)

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新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

  • 作者:向田 邦子
  • 発売日: 2016/02/13
  • メディア: 文庫
 

 遅ればせながらハマっている向田邦子さんの本。今年は全作品読破を目指しています。古いんだけど、それでいて色褪せない文章。思わず引き込まれてしまう。

 

気に入った手袋が見つからなくて、風邪をひくまでやせ我慢を通した22歳の冬以来、“いまだに何かを探している”……(「手袋をさがす」)。凛として自己主張を貫いてきた半生を率直に語り、人々のありふれた人生を優しい眼差しで掬いあげる名エッセイの数々。突然の死の後も読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集」そのエッセンスを紹介しよう。

 

「かあさんが夜なべをして手袋編んでくれた」という歌がある。この歌を長いこと野球の歌だと思っていたかたがおいでになった。「せっせとあんだだよ」というところを、「節制と安打だよ」少年時代にこう歌っていたというのである。
 
・テレビのドラマを下記、片手間に随筆を書いていた50過ぎの女が、これまた片手間で書きはじめた短篇小説で思いがけない賞をいただいたことは、幸運であり幸福であろう。この題をつけたときには思ってもみなかった成り行きである。直木賞という台風は、マンションでぼんやりと暮らしていた日常をなぎ倒して過ぎていっ。賞の重さといただいた嬉しさが身に沁みて判るのは、嵐のあと始末が終わった頃のような気がしている。
 
好きな本は二冊買う。時には三冊四冊と買う面白いと人にすすめ、強引に貸して「読みなさい」とすすめる癖があるからだ。貸した本はまず返ってこない。あとで気がつくと、一番好きな本が手許にないということになる。私は読んでいる途中、あるいは読み終わってから、ぼんやりするのが好きだ砂地に水がしみ通るように体のなかになにかがひろがってゆくようで「幸福」とはこれをいうのかと思うことがある。
 
夕食にビールがないと刑務所に入ったみたいで(入ったことはないのだが)気落ちして、書くものも弾まなくなる。
 
「箸置も置かずに、せかせか食事をするのが嫌になったのよ」彼女の言葉が、胸に突き刺さる。一人暮らしだが、晩ご飯だけは箸置を使っている。だが、夕刊をひろげながら口を動かしたりで、物の匂いや色をゆっくり味わうことはめったにない。これでは何にもならない。ときどき箸を休めながら食事をする。それが人間の暮らしだと言われたのである。
 
これはもう河でない。海だ。アマゾン皮の岸辺に立ってそう思った。天に到る水である。向こう岸はかすんで見えない。アマゾン河は濃いおみおつけ色である仙台味噌の色でる。そこへ、八丁味噌のリオ・ネグロとよばれる黒い川が流れ込む。
 
私は決めたのです。反省するのをやめにしようーと。中途半端な気休めの反省なんかしないぞと居直ることにしようと思ったのです。私は「清貧」という言葉が嫌いです。それと「謙遜」という言葉も好きになれません。清貧はやせがまん、謙遜は、おごりと偽善に見えてならないのです。
 
「夜中の薔薇」「おの字」「桃色」「四角い匂い」「直木台風」「細い糸」「ことばのお洒落」「お釣り」「下駄の上の卵酒(酒中日記)」「小者の証明」「傷」「討ち入りそば」「食わらんか」「海苔と卵と朝めし」「里子」「麻布の卵」「イタリアの鳩」「楽しむ酒」「ベルギーぼんやり旅行(猫祭り)」「アマゾン」「寺内貫太郎の母」「男性鑑賞法」「手袋をさがす」「女を斬るな狐を斬れ」「わが特派員」そして「新装版 解説」爆笑問題太田光の文章は、愛情が伝わる……分かるなあ……。惚れてしまうのも分かる気がする……。ワタシも向田邦子さんに惚れました!超オススメです。(・∀・)

 

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新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

  • 作者:向田 邦子
  • 発売日: 2016/02/13
  • メディア: 文庫