いよいよ球春到来!野球が始まるといよいよ春だね。プロ野球も、春のセンバツも!(・∀・)
2010年、興南高校の春夏連覇は1998年に松坂大輔(現・中日)を擁する横浜高校が達成して以来、12年ぶりの快挙だった。その横浜を率いた前監督の渡辺元智は、決勝おける興南に戦い振りを目の当たりにし、こう絶賛した。「大平原で獲物を逃さぬライオンのようで、こんなに強いチームは見たことがない」。過去甲子園で春夏連覇を達成したチームは興南を含めて七校ある。しかし興南は唯一「高卒、即プロ」の選手がいなかった。そのチームの強さとはいったい何だったのか。
「スター選手のいない無名チームは、なぜ甲子園春夏連覇を成し得たのか。鷹揚な沖縄人気質に、徹底した規律指導と実戦主義を融合させた興南野球の登場は、あらゆる難局を完璧かつ淡々と勝利に置き換える「静の野球」として全国の指導者を瞠目させた。いまなお異次元の強さが語り継がれる2010年の興南高校の選手達と指導者双方をつぶさに追い、その神髄に迫る傑作ノンフィクション」そのエッセンスを紹介しよう。
・興南の強さを一言で表現するなら隙のなさだ。チームカラーと監督の人格。この二つが相似形を成すのは、まだ無色な十代を指導する高校野球ならではの特徴だ。我喜屋監督を知れば知るほど興南のスタイルがわかり、興南を理解すればするほど我喜屋という人物が見えてきた。
・「沖縄は年中野球ができるからダメなんだよ。メリハリがない。動物や植物と同じで、人間も雪の中で眠っている時間が必要なの。内地の人みたいに春がやってきて、土や芝を見て、幸せだなって思う気持ちがないと」
・「まず、相手に勝てるの、どこからだろうって探した。だから、片付けの部分、散歩の部分、整理整頓の部分、そこから始めた。高校野球なんて、技術の差だけで勝敗が決まるケースはほとんどないよう。だいたいがちょっとしたミス。カバーリングを怠ったとか、声がけをしなかったとか。それが大きな失敗につながる。逆に不思議なもんで小さいことをやってたら、大きなこともできるのさ。ほんとだよ。小さいこと、ちょこちょこやってたら、三ヶ月で甲子園出れたでしょう?」
・「野球でいちばん大事なのは第六感。そのためにも五感を常に研ぎ澄ませておかなければならない。そうすれば相手が次に投げてくるボール、仕掛けてくれる作戦、わかるじゃない。野生動物は同じ道を歩くときでも、何かあるかなって緊張している。そういう直感型の選手にならないと。勝負事になったら、敵は何をやってくるかわからないんだから」
・我喜屋の感性は、独特の言い回しによく表れている。生まれ変わるー。このフレーズは我喜屋の口癖でもある。例えば、打撃指導をしているとき、「そうそう、そうそう、そういうのが、昨日のおまえより、今日のお前は生まれ変わったっていうんだよ」
・沖縄の人たちは、他人を押しのけてまで、という意識がないからね。団体競技は向いていないのかもしれない。その点、個人競技の方が、気楽なんじゃないかな。誰に迷惑をかけることもないから」
・「昔さ、月を見て、ウサギが住んでいるんだと思った人はそれまでの人だよ。なんとかすれば行けるはずだと思った人がいたから、人は月に行けるようになった。行けるって言った人は最初はバカにされたと思うよ。頭、おかしいんじゃないかって。野球も同じじゃない。できるはずだって信じた人が道を切り開いてきた」
・当時の興南に必要だったのは、神の手を持つスーパー外科医ではなかった。生活改善や投薬によって緩やかに、しかし根気強く治療してくれる内科医だった。我喜屋は普通の人だったら見落としてしまいそうな小さなところ、寮や部室の衛生管理などから少しずつ、だが確実に改善していった。
・コーチの砂川太「監督は『相手と力が互角だったら絶対、負けない』って言ってましたね。私生活を含め『他は全部上回っているんだから』と毅然としていました」
……スゴイなあ……。まさに、二宮尊徳先生の「積小為大」だね。 野球ファン、必読!オススメです。(・∀・)♪