この本はオモシロイなあ……。歌の謎解きだねえ〜！「贈る言葉 海援隊 「去りゆくあなた」は、卒業生ではなかった」ってハナシから惹きつけられるねえ！(・∀・)
「神田川」の「三畳一間の小さな下宿」も「学生街の喫茶店」の「学生でにぎやかなこの店」も実在していたなんて！ベストセラー『童謡の謎』シリーズでおなじみの合田道人が、今ブームの「昭和歌謡」の謎に挑む平成生まれの若者でもカラオケで「天城越え」「居酒屋」「贈る言葉」など昭和の歌を熱唱する現在、歌い継がれる楽曲に秘められたドラマを解き明かします。デビュー以来、40年にわたり歌謡界の現場にいる著者だけに、作詞家、作曲家、歌手本人から知りえた秘話が満載！そのエッセンスを紹介しよう。
【喝采 ちあきなおみ 本当に「黒いふちどり」が届いたとき、恋の歌は歌えなかった】
この詞を読んで、ちあきは「いやだ」と言った。あまりにも悲しい思い出とイコールしていたからだった。キャバレーを回っていた頃のちあきの思い出。「あれは三年前」ならぬ数年前のことだった。一座のメンバーで、バンドマンとも俳優ともいわれる、ちあきが兄のように慕っていた青年が亡くなったという訃報が届いた。それは少女時代の淡い初恋だったのかもしれない。その後、レコード歌手として成功をおさめ、今やスター歌手になったちあきが、すでに忘れかけている思い出。それが作品を渡されたとき鮮やかによみがえったのである。
“お兄ちゃん”と呼んでいたその彼の死が、この歌には見え隠れしていた。難色を示す彼女をレコード会社はそれを逆手にとって「私小説歌謡」として宣伝したのである。ドラマチックな作品は、人の心をつかんだ。それにも増して、ちあきなおみの無表情とも涙をこらえているようにも感じる表現力と歌唱力に、まさに喝采に送られたのだった。スターと呼ばれるゆえ、好きだった人の葬式にさえ参列できず、涙も見せずにライトの中、健気に歌っている姿が、そのままちあきなおみに乗り移った。
最愛の“あなた”だったご主人の、俳優でプロデューサーの郷硏治が亡くなったとき、彼女は歌手活動をストップさせたのである。
その他、「贈る言葉 海援隊 「去りゆくあなた」は、卒業生ではなかった」「瀬戸の花嫁 小柳ルミ子 公害が生んだ「わが島」の歌」「神田川 南こうせつとかぐや姫 「洗い髪が冷えるまで恋人を待たせた銭湯」は実在した」「長崎は今日も雨だった 内山田洋とクール・ファイブ 天気が悪くても歓迎される“ご当地ソング”の港町」「函館の女 北島三郎 「とてもがまんができなかった」のは、なんと……」「こまっちゃうナ 山本リンダ 会社が苦しい時に、この一言」「美・サイレント 山口百恵 あなたの◯◯◯◯がほしいのです」「天城越え 石川さゆり あなたを殺していいですかー情念の女のモデルとは？」「高校三年生 舟木一夫 東京五輪のために直されたメロディー」「リンゴの唄 並木路子 初めに書かれた歌詞は違うものだった！？」「学生街の喫茶店 ガロ 「君とよく来た店」は、どこにあったのか」「上を向いて歩こう 坂本九 日本の名前が世界に轟いた第一号歌手」「帰ってきたヨッパライ ザ・フォーク・クルセダーズ 奇跡が奇跡を生んでいった」「ガラスの林檎 松田聖子 聖子ちゃん、昭和の売上ナンバーワンの歌の謎」「償い さだまさし 彼は許されたのか。彼女は許せたのか」など。
この続編を作って欲しいなあ。超オススメです。(・∀・)
