「歌謡曲、唱歌・童謡、世界の歌から、鉄道にまつわる曲を、そのエピソードとともに紹介する貴重な書籍が登場。鉄道の歴史の折々に誕生した名曲の時代背景や制作の裏話などを、JASRAC音楽文化賞を受賞した音楽文化研究科の長田暁二が書く」そのエッセンスを紹介しよう。
「池上線」(西島三重子)
「池上線」(西島三重子)
昭和50(1975)年9月発売。作詞した佐藤順英は学習院大学1年在学中、池上線の車内で知り合った他大学の一年生の女性と付き合っていました。ハワイ大学に留学すると、彼女から手紙を受け取り、それには「待つことに疲れた」と記されていました。急きょ帰国して説得しましたが、ふたたび元の鞘には収められませんでした。そこで「自分の気持ちを彼女に使えたい」と詞を書きました。この詞にバンド仲間で知り合いだった西島三重子が、別れの具体的情景を語る物悲しい失恋ソングとして唄いました。同時期、18歳の野口五郎でヒット中の「私鉄沿線」のイメージで作曲したといわれます。西島はまだ作曲家になることを目指していた頃で、まさか自分が唄うことになるなんて思ってもいませんでした。フォーク歌手として自覚や覚悟が生まれる前のアルバムの中の1曲だったのです。
昭和51年当時、「池上線」のプロモーションの手立てを考え東急に協力を依頼しましたが、歌詞に「古い電車」とか「すきま風に震えて」といった言葉があって、会社のイメージアップに繋がらないという理由で断られました。それが発表後20年近く経つと、聴けば聴くほど味わい深くなって、アコースティックギターが使われていた70年代のフォーク調歌謡曲の定番になりました。
いいなあ。電車じゃなくて「列車」が、JRじゃなくて「国鉄」時代は、哀愁があるよね〜オススメです。(・∀・)♪