「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ヤフー・トピックスの作り方」(奥村倫弘)

 


ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)


あれほど大好きだった新聞を取らなくなったのはいつからだろう……代わりに毎日、毎朝お世話になっているヤフー・ニュース。「ひと月の閲覧数が 45億ページ、ひと月の訪問者数が6970万人----今や日本最大級のニュースサイトと言っても過言ではない。なかでも13文字×8本のニュース見出しを中心とした「トピックス」は、絶大な影響力を誇る。ニュースサイトは数あれど、なぜ「ヤフー・トピックス」は圧倒的なひとり勝ちができたのか? なぜ新聞やテレビを凌駕する媒体力を得ることができたのか? ついクリックしてしまう13文字の作成ノウハウ、そしてジャーナリズムとビジネスを両立させることの苦悩を、当事者自らエピソード満載で書き下ろす」そのエッセンスを紹介しよう。


インターネットでニュースが読めるようになって、10数年が過ぎようとしています。新聞なら、朝刊と夕刊の一日2回のタイミングしかありませんがインターネットはいつでも好きな時にニュースを見ることができます。さらに携帯やスマホの普及で場所を選ばずにニュースが読めるようになり、生活に溶け込んでいます。


・ヤフー・ジャパンが「ヤフー・ニュース」を始めたのが、1996年7月、その2年後「トピックス」のコーナーがスタートします。かなり老舗の部類に入ります。


・私たちの編集部は東京ミッドタウンにあります。トピックス編集部の夜勤は一人で入ります。新聞社では午前3時で仮眠を取ることが許されるのですが、トピックス編集部は仮眠を取りません。インターネットは締切がないからです。365日24時間の体制でニュースをチェックしているのです。


・夜勤の伊藤の仕事は「一日を振り返ったときの気持ち」を分かるようにすること。硬いニュースと柔らかいニュースとのバランスの取り方が難しく伊藤はこの難しさを「詰将棋のようだ」と表現します。特に、一日の終りの「最終型」は硬軟のバランスだけではなく、一日のニュースの流れがある程度分かるようになっていなければなりません。そこに最新のニュースが読めなければならないのです。


編集部のほとんどが取材に行きませんし記事も書きません。記事を書くという仕事は、単に文章を書くだけの作業ではなく、人に話を聞くことに始まり、現場に足を運んで、目的とする情報を探し当てること、そして何をアウトプットするかを考えることなど、非常に多くの手間と知識とスキルを動員します。この脳みその使い方は、トピックス編集では結構強みになります。


・あらゆるニュースソースで報じられた情報が一カ所に集めて整理するという役割は、紙や電波ではなくてインターネットにしかできないこと。ニュースに関わるということは「世の中を良くする」ことと同じ。このことは新聞記者もトピックス編集者も変わるところがないのです。


トピックスの編集に携わっていると現場の記者では感じなかったような感覚に気づきます。それは、自分の作ったトピックスが爆発的に読まれたときの快感と自分の作ったトピックスが何千万人の目に留まるかもしれないという不安です。なかにはこの不安に駆られてトップページの反映ボタンを押す指が震えたという編集者もいるくらいです。


・トピックスの見出しはどれも全角13文字相当です。厳密に言うと13.5文字までが許容。無駄な要素はどうしても省かなければなりません。「このニュースの価値を一言で表現するとどうなるのか?」と問い続けける日々続ける訓練を日々続けるうちに、本当に一言で表現できるようになったのかもしれません。京都大学大学院の研究により「一度の知覚される範囲は9〜13文字」なのです。そのため文意解釈のスキルが大きく問われます。加えて、ニュースの核となる部分を見据えたうえで、記事を構成する要素に優先順位を付けることになります。そして要素ごとに分解した言葉を再構成していくわけです。


なーるほど!役割違えど、21世紀型のジャーナリズムなんだね。オススメです。(・∀・)


 


ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)