最近ハマっている、永六輔さんの本。これは前代未聞のいや、「前代『慰問』」の刑務所慰問講演集なのだ。(・∀・)
「あなたの話を聞いて今、堅気やっています」。前代未聞、塀の中の懲りない面々に、笑いあり、涙ありの迷(?)説法。シャバでは絶対聞けない話。そのエッセンスを紹介しよう。
ヨーロッパの人たちの憧れの旅というのはエーゲ海クルーズなんです。波はおだやか、イタリアに行ったり、ギリシャに行ったり、あちこちをくるくるしながら、すてきな旅をするんですよ。その船旅に出た女の子の日記。
月曜日:今日、憧れのエーゲ海クルーズが、マルセイユから出航する。いよいよ私は夢に見た旅がはじまる。乗船したら、甲板で船長さんに声を掛けられた。これがいい男で私の好み。旅が楽しくなりそう。
火曜日:今日、甲板で船長さんがお茶に誘ってくれた。すてきな午後になった。ますますあの船長さんが、す・き。すてきな人だと思う。
水曜日:今日は、船長さんはディナーに招待してくれた。で、よかったらそのあとで、お酒を飲みませんか、といってくれたけれど、そこまでやるのはやり過ぎ。食事だけご馳走になってお酒はお断りして部屋に戻った。
木曜日:今日寝てたら、夜遅く、船長さんがノックしてきた。「ふたりきりになりたい。何とかしてこのドアを開けてくれ。鍵を開けてくれ。おまえとふたりになりたいんだ」私は、毅然としてお断りした。
金曜日:再び夜遅く、船長さんが荒々しくノックをしてきた。お酒を飲んでいる。「オレはおまえと寝たいんだ。鍵を開けろ。オレは船長だぞ。おまえが嫌っていったら、この船沈めちゃうぞ。この船には500人が乗っている。500人の命がかかっているんだ。オレは船長だから、沈めようと思えば沈められるんだぞ。ドアを開けろ」私は断固といてお断りした。ドアを開けられなかった。
土曜日:今日、私は500人の命を救った。(笑)
・黒柳徹子さんが鎌倉のお寺にいきました。掛け軸に「色即是空」とある。友達の小沢正一さんに聞いたら、「それはお寺の文句で大事な文句なんだ。色即是空っていうのは、色っぽいことをすると、すなわち、これ、むなしいぞ」(笑)
・何かがあるってことは、ないということなんだ。何もないってことは、あるということなんだ。中村八大さんは亡くなってますから、今はいないんですね。いないんだけども『上を向いて歩こう』とか『遠くへ行きたい』とかが聞こえてくると、いるんですよ。さあ、それでは具体的にいきますね。
瞳を閉じてください。そして大事な人を思い浮かべてください。大事な人。誰でもいい。今いちばん大事な人。はい。目を開けてください。今僕が見えてますね。目を閉じたときは見えていないですね。見えていないけど見えたでしょ。瞼の裏に誰かが。そうですね。そういいうことなんですよ。いるけど、いないんです。いないけど、いるんです。そのことが色即是空。
「刑務所のノミのサーカス」(フランス)、「南無阿弥陀仏の話」「妻を売ったのが1回、捨てたのが6回、妾宅を構えること24回、警察のご厄介が124回の吉田勇吉さんインタビュー」など。
この本でしか味わえない世界と話が満載!超オススメです。(・∀・)!