「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「菊次郎とさき」(ビートたけし)

 


菊次郎とさき (新潮文庫)


いつも思うんだけど、明治大学の生田校舎の大先輩のビートたけし北野武)の本を読むと自分ごとのように感じるときがある。北野大と兄弟そろって明治。私と兄も同じ明治。しかも生田校舎の工学部(現・理工学部)と農学部同士。そして兄の方が優秀!(笑)


さて、この本。たけしの母の「北野さき」さんのエピソードを読んで母を思い出した。さきさんのように毒舌じゃないけど、母に迷惑をかけ、心配をかけたという点では共通点がある。(笑)


「おまえなんか、死んじまえ! 」事あるごとに息子を厳しく叱り飛ばし、強烈な思い出を遺して逝った母人一倍照れ屋で小心者、酒なしには話も出来なかった父――。病床の母を見舞う道すがら、幼き日からの父母との記憶を辿る「SAKI」。母の通夜後、号泣した著者が溢れんばかりの愛情で綴った「北野さきさん死去」など、懐かしく暖かい珠玉の三篇。そのエッセンスを紹介しよう。


よく考えると結局、おいらの人生はオフクロとの闘いだったような気がする。オフクロっておいうのは、本当においらと似ている。しゃべり方から目つきからあまりにそっくりなんで困ってしまう。


・(たけしが家を出るとき)「出ていくんなら出て行け。おまえなんか子供じゃない。大学までやってやったのに、絶対帰ってくるな。おまえなんか今日から親でもない子でもない」


・(家賃をためた大家さん)「おまえみたいなばかはどこにいるか。半年前、北野くんがここへ引っ越してきたろ。そのすぐ後にオフクロさんが来たんだよ。タクシーで後をつけたって言ってたよ。『どうせあの子はばかだから、家賃を絶対ためるんで、一ヶ月ためたらうちに請求してください』って言われた。そうやって今までずっとオフクロさんが金を送ってきてくれたから、君はずっとここにいらっれたんだ。だから家賃はちゃんともらっているんだけどお前は一銭も払ってないじゃないか。少しはオフクロさんのことを考えなさい


・(今日もまたコロッケ?という発言で)「はい。食わないの、嫌ならやめなさい。食わないんだろ、食わなくていいんだ、おまえなんか。死んじゃえ」


・警察に捕まったときには「頼むから死刑にしてくれ」と言うし、事故を起こせば「死んでしまえばいいんだ」って言うし、相変わらずの毒舌。


・(かみさんに)「あのばかは、ごめんね、悪いことばっかしして。だけど、あんた別れちゃだめだよ。取るだけは取らなきゃ」


「ばかやろう。女房泣かせば、どうせ罰が当たるんだ。おまえなんか。これ以上泣かせるんじゃないよ。ちゃんと迎えに行ってきな。一回離婚したら何回も繰り返すに決まってる。癖になるんだ、あんなものは。いいんだよ、裏で遊べば


・(兄貴の子どもの秀に)「秀君、大学入んな。大学入ったら車買ってやるから。あのばか騙して金ふんだくってやるから。いいおばあちゃんだろう」


・オヤジが亡くなってもう20年たつけれど、オヤジがどんな家で育った男なのか、おいらは今だに知らない。兄貴たちに聞いても、わからないといいう。自分の名前以外は字を書くこともできなかったから、きっと小学校も出ていなかったのだろうと思う。オフクロは「父ちゃんは捨て子だっんだ」と言っていた。オヤジの家の親戚には一人も会ったことがない。ガキの頃に出会った「怪物」は、とうとうその正体を明かさないまま、消えてしまった…。


中でも郵便貯金通帳事件」は泣ける……。ああ……母に会いたくなりました……母の新潟のけんちん汁が食べたくなりました……母の愛ってスゴいねえ。超オススメです。(・∀・)


 


菊次郎とさき (新潮文庫)