「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「イベリコ豚を買いに」(野地秩嘉)

    


イベリコ豚を買いに


オモシロイ!タイトルから想像できないくらいオモシロイ!やっぱり野地秩嘉さんの本は読ませるねー!(・∀・)


「レストラン、スペインバルはもとより、今やコンビニ、回転寿司でもごく普通に売っているイベリコ豚。高級食材として知られているはずのものが、いまや日本全国で手に入るのはなぜか?そもそも、イベリコ豚はそんなに沢山いるのだろうか?著者はそんな素朴な疑問をいだき、取材を始めた。日本人が知らないイベリコ豚の「真実」を明らかにすべくスペインを目指した著者。幾多の困難を乗り越え、現地に辿り着いた著者を待っていたのは、驚きの連続だった。……。ローマ時代の遙か昔からスペインで幻の豚を守り育ててきた熱き男たち。そして素晴らしい生ハム作りに命を捧げる職人たちとその家族のドラマを紡ぎながら、知られざるイベリコ豚の生態、そして食肉流通事情を解き明かしていく。さらになりゆきでハム作りにも携わることになり……。多様なジャンルをテーマに、多くの傑作ノンフィクションを世に出してきた著者がスペインと日本を舞台に描く、読み応えのある食ノンフィクション」そのエッセンスを紹介しよう。



イベリコ豚という名称を頻繁に目にするようになった。私はスペインのイベリコ地方で生まれた豚の肉だと思っていたがそれは完全な間違いだった。スペインにはイベリコという地区はない。イベリコ豚とはイベリア半島固有の畜種、イベリカ種のことを指している。



「イベリコ豚を見てきた」という日本人は自慢そうにいった。「どんぐりを食うって言っているでしょう。あれ、違うよ。日本で言うどんぐりじゃない。生のカシューナッツかアーモンドに近い。一度は見た方がいい。普通の豚は豚舎で育てられるのだが、イベリコ豚は放し飼い。それも最近始めたことじゃない。何百年も前からイベリコ豚はそうやって育てられた。本当のサステナブル(持続可能)とはそいうことだ」


豚は血統、飼料、飼い方で味が決まる。イベリコ豚は油の味が特別。どんぐりを食べているベジョータと呼ばれるものは脂肪を食べると木の実の香りがする。そして放牧でしょう。イベリコ豚は生産効率を追求した豚ではありません。イベリコ豚のおいしさはどんぐりを食べることと、放牧で時間をかけて育てるところから来ていると思われます。


・取材をしたくとも断られ「買う」という意思表示をして2年越しの念願が叶った場所は、東京ディズニーランドの20倍近い広大な牧場に圧倒される。カバのごとく巨大な黒褐色の体躯。イベリコ豚の存在を通じて著者が提起するのは、私たちが自分が食べているものについて正しく知っているのだろうか、という疑問である。


「イベリコ豚の宣教師」を自認するスペイン在住の吉岡大輔、「わたしの人生にとって、イベリコ豚はすべてを与えてくれた存在なのです」とイベリコ豚について深く知るためにはスペインに暮らさなければ、と会社を辞めて家族とともにスペインに移り住んだ彼の熱い生き方。自分が信じた食材に生命をかけている。


・オレは夜中に雨が降ると飛び起きて会社にやってくる。部下も叩き起こして一緒に窓を閉めて回る。家族に会うのは月に2,3回。そんなスペイン人はいない。寝ないで仕事をしなければ他の会社の生ハム、食品に勝つことなどできない。おいしい食品なんて世界中にある。おいしい食品を作るには完璧でなければならないんだ。完璧なものを作って自分のブランド名をつけて売る。質の悪い商品は絶対に市場に出さない。従業員を安い給料で働かすこともしない。そうしないとおいしい食品を作っている仲間たちから一歩抜け出すことはできない。(ホセ・ゴメス、スペイン最大のベジョータだけを扱う生ハム会社社長)


「プロが動くのは金ではない。彼らは金の帳尻を合わすことはできる。それよりも、夢を動きたいのだ。夢が最大のモチベーションなのである」


・「目先の金の分配よりも、これまでにないおいしい商品を作ることに全精力を費やすことがプロなのである」


・「本当の仕事の本質とは、毎日やる事務連絡と結果の確認、そして、参加者の情報レベルを統一することなのだ」




ゴヤ「砂に埋もれる犬」


頻繁に登場するこの絵。実物を観てみたい!スペインの食生活を体験したいー!生ハム食べたいー!超オススメです!(・∀・)


    


イベリコ豚を買いに