「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「毎月新聞」(佐藤雅彦)

  


毎月新聞 (中公文庫)


最近、ハマっているポリンキー」「だんご3兄弟」「バザールでござーるの生みの親である佐藤雅彦氏。その目のつけドコロと発想には感心している。(・∀・)


さて、この本。毎日新聞夕刊紙上で、月に一回掲載された日本一小さな新聞、その名も「毎月新聞」。その月々に感じたことを独自のまなざしと分析で記した、佐藤雅彦的世の中考察。人気の3コマまんが「ケロパキ」に加え、文庫オリジナルの書き下ろしも収録。そのなかで私とおんなじ発想のコラムがあったので、そのエッセンスを紹介しよう。


【日常のクラクラ構造】


かなりいっぱいになっているゴミ袋をゴミ箱からはずし、回収場所に出しに行った。そして部屋へ戻って新しいゴミ袋をセットしようと、引き出しからゴミ袋お入っている袋を取ってきた。ところば、ゴミ袋が最後の1枚だったため、手元にはゴミ袋を入れていた透明の袋だけが残った。その袋はもう使いようがなくなったので、ゴミ箱に捨てた。ーこの瞬間である、僕がいつもクラクラしてしまうのは。今捨てた袋は、つい先程まで機能していたのである。とろろが中のものが全部なくなった瞬間、袋はゴミになったのだ。そして、今まで入れていたゴミ袋の中に入ってしまう。そんな奇妙な構造が、僕をクラクラさせてるのだ。僕はこれを「日常のクラクラ構造」と勝手に呼んでいる。


・先日、財布が壊れたので、1万円をポケットに入れデパートに行った。気に入った財布が見つかったので店員さんを呼んでポケットから1万円を出して渡し、「今、使うので包まなくていいです」とそのまま財布をもらった。しばらくすると、その店員さんがおつりを持って戻ってきた。そのおつりを買ったばかりの財布に入れた。僕はまたクラクラしてしまった。今までポケットにあったお金でこの財布を買い、そのおつりがその財布に入ってしまう。「財布プラスおつり」が1万円。この一見当たり前と思える奇妙な構造は何なんだろう。


僕の仕事は、このクラクラという感覚を映像や他の表現を使って生み出すことでもある。そのためにも、日常生活でふいに出くわすこのラクラ構造は、とてもいい刺激でもあるしお手本になる。


「じゃないですか禁止令」「新しい心配」「おじゃんにできない」「文字が出す騒音」「文化の芋がゆ状態」「質問ができない(海亀のスープ)」「ネーミングの功罪」「情報の力関係(→の話)」「かもしれないグッズ」「ねっとのおやつ」「三角形の内角の和が180°であるという強引な証明」「壊れた間合い」「勝手な約束(1000円じゃんけん)」「6月37日」「ちょいちょきらぱっぴ」「記号のイコン化」「す、も×8、のうち」「テレビを消す自由(リモコンがテレビの見方を変えた)」 など。


特に、「質問ができない(海亀のスープ)」は……ドキッとするよねえ。オススメです。(・∀・)


  


毎月新聞 (中公文庫)