「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜理想の家と生活とは?…『TOKYO 0円ハウス0円生活』(坂口恭平

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

この本はスゴい!平成の奇書だ!《゚Д゚》 「東京では一円もかけずに暮らすことができる。こんな街は他にないよ」驚くべきこの言葉は隅田川の川沿いに住む、ホームレス・「東京の遊牧民鈴木さん。総工費0円生活費0円!?

酒と食べ物以外、全部拾ったもの。家も道具も全部。釘一本買ったことない0円生活。電気は発電機で。ガソリンスタンドから自動車用の12Vのバッテリーをもらってくるのだとか。自動車にとってはゴミだが、人が家で家で小さなテレビやラジオを使う分には十分すぎる電気量が残っているのだとか。鈴木さんの0円生活の極意を教えて欲しいと乞うた建築探検家・坂口恭平氏が探る理想の家と生活とは?新しいサバイバルの知恵がここに!そのエッセンスを紹介しよう。



「毎日、家の部品のことを考えながら自転車に乗っているんですよ」


・「ブルーシートは花火大会でゲット、木材はアルミ缶拾いをしている途中に通りかかる工事現場のゴミ置き場とかだね。ちゃんと工事現場の係の人に断ってもらってくるんだよ。もちろん、工事が始まる前によっといて、チェックだけはしておくわけよ。そして、もらったら奇麗に元通りにしておくこと。これがポイント。汚くしたら次はもらえないし、他の人がもらう時にも影響するでしょ。ちゃんと許可を得てからもらうこと。そして、後始末を怠らないこと」


「うちなんか生ゴミ以外、なんにもゴミは出ないよ。ビニール袋だって洗って再利用しているよ。本当に東京の人は何をやっているんだい」


「工夫するのが好きなのよ。そしてこの生活は工夫すればするほど面白くなっていくわけよ。本当に面白いのよ」


「ホテルの掃除のオバちゃんにも個人の奥様にも全部言うわけよ。私はこれで生計を立てていますので、もしもよかったら、ここのアルミ缶を毎回ください、って」


・調味料がこの家にはたくさん並んでいる。七味唐辛子、味塩、瀬戸の本塩、生姜焼きのたれ、ラー油、ターメリック、寄せ鍋のつゆ、わさび、小麦粉、片栗粉、砂糖と塩は揃いの容器に入れられている。飲み物も、煎茶、コーヒー、紅茶、ココアなどは勢揃いである。「食事が一番重要だからね。うちにはなんでもあるよ」


・鈴木さんとみっちゃんの収入のほとんどが食費で消えていく。食材と調味料とお酒と煙草。これが彼らが買うものである。毎日バランスのとれた食生活を続けている。もちろんすべて自炊だ。決して豪華ではないが、毎日好きなだけ食べ、好きなだけ飲んでいる。「食」は彼らにとって、生活の基盤でもあり、娯楽でもあり、二人きりで話すためのコミュニケーションツールでもあるのだ。



・この家の興味深いところは、水、ガス、電気、下水いずれの設備にも、何一つつながっていないということだ。水は公園から、ガスはカセットコンロ、電気はバッテリーから得ている。これらのインフラは、家とつながっているのが当たり前である、それがこれまでの常識であっただろう。しかし、それは便利ではあるが、災害が起きた時には、住宅が破損するだけではなく、二次災害までもが襲ってくる。また、いろんな設備を必要とするから住宅というものが巨大でガチガチなものになってしまっている。家は本来もっと修理しやすいものに、もっと簡単に作り替えたり、移動させたりできるものである。そういったものが、本来の意味の「家」ではないのか。


隅田川に家を建てるという行為は許されているものではない。しかし鈴木さんの家を調べれば調べるほど、なぜこの生活が許されず、周りには巨大な構造物が建ってくるのか、正直わからなくなっていった。僕としての提案は、ホームレスという枠から鈴木さんの生活に焦点を当てるのではなく、唯一無二の一人の人間の生活として捉えてみるということだ。


どう?すごくない?これを読んで、東京の遊牧民になってみたいと思ったのは私だけだろうか?オススメです。(^ム^)