「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「私たちはどこから来てどこへ行くのか」(森達也)


私たちはどこから来て、どこへ行くのか: 科学に「いのち」の根源を問う (単行本)


この本は深い、実に深い……。人とは何か。人はなぜ死ぬか。宇宙に終わりはあるか。第一線で活躍する科学者たちに問うことで、人と科学の根源に挑む。哲学的な、そして科学的な、人類にとって永遠の謎に迫る。そのエッセンスを紹介しよう。


・死後に意識はどこへ行くのかも想像した。天界とはどんなところなのだろう。地獄など本当にあるのだろうか。それと魂は時空を漂うのか。あるいはぷっつりと世界から消えるのか。別の次元に行くのか。そもそも自我とは何だろう。自分はなぜ今、この世界にいるのだろう。私たちはどこから来たのか。私たちは何ものか。私たちはどこへ行くのか。


・おそらくは小学校に入るか入らないかの時期、死という概念を初めて知って、自分でも制御できないほどの恐怖に襲われたことがある。知ったその瞬間ではなくて夜に眠るためにに布団に入ってから、自分はいつか死んで消えるのだと改めて考えて、あまりの恐怖に眠れられなくなったのだ。死ぬことが怖いというよりも、自分が消えてなくなることの意味がわからないというニュアンスのほうが正確かもしれない。そしてわからないと思う自分の存在が消えることの意味がわからない。さらに自分が消えたあとも世界は存在する。その意味もやっぱりわからない。わからないけれどその事態は、間違いなくいつかは起こる。死は目覚めない。眠ることとは根本的に違う。自分は消えるのだ。その意味がやっぱりわからない


福岡伸一生物学者指紋や網膜などのパターンも実のところは常に少しずつ変わっているわけで、自己同一性とか自己一貫性とは、生物学的には何の根拠も基盤もない。比喩ではなく現実に、自己は絶え間なく変わっているわけです。極論すれば私たちは、あらゆる瞬間に死んで、あらゆる瞬間につくりかえられているということになる。個体があるから個体の世代時間が寿命ということになっていますけれども、それは絶え間なく更新されています。見方を変えれば生命38億年の歴史で、生命は一度も死なないままに、次の世代にバトンタッチしつづけれてきたとも言えるわけです。その意味では、生物はすべて、ずっと生き続けているわけです。


長谷川寿一=進化生態学者)チンパンジーの場合、群れの仲間が病いに伏して水が欲しいと思っていたとしても、周囲はほとんど関心を示さない。手助けはしないですね。人間は瞬時に相手がなぜ困っているのか見抜けますが、チンパンジーは相手の表情を見抜くほどではなくて、共感もほとんど示さない。いずれにせよ共感は、ホモ・サピエンス、つまり人類の大きな特徴であるということですね。


(村山斉=物理学者)私たちはこれまで、自分たちを形作っている原子が宇宙のすべてだと思っていました。ところが近年、宇宙において原子が占める割合はおよそ5パーセントにすぎないということがわかってきました。宇宙のおよそ25パーセントが暗黒物質、そして70パーセントは暗黒エネルギーでできています。しかもしれが宇宙の始まりや運命を決定している。これはある意味、天動説が地動説に変わったのと同じぐらいに革命的な出来事です。


その他、「なぜ人は死ぬのだろうか」「人はどこから来たか」「進化とはどういうものか」「生きているとはどういうことか」「死を決めているのは誰か」「宇宙に生命はいるか」「宇宙はこれからどうなるか」「私とは誰なのか」「なぜ脳はこんな問いをするのか」「科学は何を信じるのか」「私はどこから来て、どこへ行くのか」など。


じっくりと何度も読み返したくなる本です。超オススメです。(・∀・)



私たちはどこから来て、どこへ行くのか: 科学に「いのち」の根源を問う (単行本)