「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来(下)」(ユヴァル・ノア・ハラリ)

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ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

 
イスラエル歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』は、すごかったね。人類必読の書なんて、そう何冊もないよね。
 
さてこの本も人類必読の書です。。続編とも言うべき本でユヴァルの集大成なのだ。
 
私たちはどこへ向かおうとしているのか。人工知能遺伝子工学といったテクノロジーホモ・サピエンスの能力が合体したとき、人類は何を求め、何のために生きるのか、そして世界に何が起きるのかを問う!人類はどこへ向かうのか?生物はただのアルゴリズムであり、コンピューターがあなたのすべてを把握する。生物工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊していく」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
現代というものは取り決めだ。生まれたこの日にこの取り決めを結び、死を迎える日までそれに人生を統制されるこの取り決めを撤回したり、その法(のり)を超えたりできる人はほとんどいない。この取り決めが私たちの食べ物や仕事や夢を定め、住む場所や愛する相手や死に方を決める。
 
近代に入るまでは、ほとんどの文化では、人間は何らかの宇宙の構想の中で役割を担っていると信じられていた。その構想は全能の神あるいは自然の永遠の摂理の手になるもので、人類には変えられなかったこの宇宙の構想は人間の命に意味を与えてくれたが、同時に、人間の力を制限した。人間はちょうど、舞台上の役者のようなものだった。
 
近代以前の人間は、力を放棄するのと引き換えに自分の人生が意味を獲得できると信じていたが、現代の文化はこれを拒む。私たちは、どんな壮大なドラマの役者でもない。人生には脚本もなければ。脚本家も監督も演出家もいないし、意味もない。本書では、現代における力の追求を取り上げる
 
今日では誰もが成長で頭がいっぱいなのに対して、近代以前の人々は、成長など眼中になかった。君主も聖職者も農民も、人間による生産はおおむね一定しており、他人から何かくすねないかぎり豊かになれず、子孫が自分たちよりも高い水準の生活を送れるとは思っていなかっ。このような停滞状態に陥っていたのは、主に、新しい事業のための資金調達が難しかったからだ。それは当時は信用に基づく経済活動がほとんどなかったからだ。なぜか?経済が成長すると人々は信じていなかったからで、成長を信じなかったのは、経済が停滞していたからだ。こうして停滞が停滞を招いていた。
 
・なぜ人類は近代になるまで、経済成長に弾みがつくのをほとんど信じなかったのは、愚かだったからではなく、成長が私たちの直感や、人間が進化の過程で受け継いできたものや、この世界の仕組みに反しているからだ。自然界の系の大半は平衡状態を保ちながら存在していえ、ほとんどの生存競争はゼロサムゲームであり、他社を犠牲にしなければ繁栄はない。
 
現代は、経済成長は可能であるばかりか絶対不可欠であるという固い信念に基づいている。祈りや善行や瞑想は慰めや励みになるかもしれないが、飢餓や疫病や戦争といった問題は成長を通してしか解決できない。この根本的な信条は、ひとつの単純な考え方に要約できる。もし何か問題が起こったら、おそらくより多くのものが必要なのだ。そして多くのものを手にするには、より多くを生産しなければならない。」成長が世界中ではほとんど宗教のような地位を獲得したことを物語っている。実際、経済成長の信奉を宗教と呼んでも間違っていないのかもしれない。なぜなら今や経済成長は、私たちの倫理的ジレンマをのすべてとは言わないまでも多くを解決すると思われているからだ。
 
悲しいかな、どれほど勤勉な医師でも、これまで私がかかった病気や受けた健康診断の結果をすべて覚えていない。同様に、病気や薬を一つのこらず熟知している医師や、ありとあらゆる医学誌専門誌に発表されたありとあらゆる新論文を読んでいる医師もいない。そのうえ、医師もときには疲れていたり、お腹が減っていたりするし、ひょっとしたら病気のことさえあるから、それが判断力に響く。IBMのワトソン(AIシステム)は、私のゲノム全体と日々の健康状態や病歴を詳しく知っているだけでなく、私の親や兄弟姉妹、親戚、隣人、友人のゲノムと健康状態や病歴も知り尽くしている。
 
人間の医師を育てるのは、何年もの月日と多額の費用がかかる複雑な過程だ。しかも10年ほどの学習と研修を経てその過程が完了したときの結果は、たった一人の医師にすぎない。もし医師をもう一人必要なら、同じ過程をすべて最初から繰り返さなければならないそれに対して、ワトソンの導入を妨げている技術的な問題が解決できた暁には、一人では数限りない医師が、世界各地で一年365日、24時間体制で患者に対応できる。
 
2033年までに人間の電話セールスマンと保険業者がアルゴリズムに仕事を奪われる可能性は99パーセントある。スポーツの審判員が同じ目に遭う可能性は98パーセント、レジ係は97パーセント、レストランの調理師は96パーセントだそうだ。もちろん、安泰な仕事もある。2033年までにコンピューターアルゴリズムが考古学者に取って代わる可能性は0.8パーセントしかない。非常に高度な種類のパターン認識が必要とされるうえに、たいした利益を生まないからだ。
 
19世紀と20世紀には、産業革命がゆっくりと進展できたので、政治家と有権者はつねに一歩先行し、テクノロジーのとどる道筋を統制し、操作することができたところが、政治の動きが蒸気機関の時代からあまり変わっていないのに対して、テクノロジーはギアをファーストからトップに切り替えた。今やテクノロジーの革命は政治のプロセスよりも速く進むので、議員も有権者もそれを制御できなくなっている。政府というカメはテクノロジーというウサギに追いつけない
 
なぜアメリカはソ連より速く成長したのか?アメリカのほうが、情報が自由に流れたからだ。なぜアメリカ人のほうがイラン人やナイジェリア人より健康で裕福で幸せなのか?情報の自由のおかげだ。だから、より良い世界を作り上げたいなら、そのカギはデータを自由にすることにある。

 

 このまま科学文明が発達し続けるとどうなるのか!?その答えがここにある!ノストラダムスの大予言よりもリアルで現実的だ。すごい!超オススメです!

 

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ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来