「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「サービスの裏方たち」(野地秩嘉)

      


サービスの裏方たち (新潮文庫)


ノンフィクションライターの野地秩嘉さんっていい文章書くんだよねー!まるで書籍版「プロジェクトXのように、陰で活躍する「裏方」にスポットライトを当てている。

「私たちが、ふだん目にしない場所や気にとめない世界にも、驚くべき技を持つプロフェッショナルがいて、サービス精神が発揮されている。「裏方」 たちのサービスの形とその真髄とは。静かな感動を呼ぶ10篇のノンフィクション」そのエッセンスを紹介しよう。



学習院初等科の伝統を支える給食のおばさん」


・三浦先生「食事中、黙って食べるのは学習院の伝統です。おそらく戦前からですが、これには理由があるのです。まず、昼休みは一時間しかありません。給食を食べる時間がせいぜい25分から30分でしょう。おしゃべりしながら食べていたらとても時間内には終わりません。それから、子どもたちにとって大切なのは、ひとつのことに集中すること。子どもたちにとって、食べることと話すことを両方一緒にやることは決して簡単なことでありません。学校では、話すことよりも、栄養を摂ることに集中してほしいと思っているのです」


集中して食べるのは何より毎日の給食メニューに魅力があるからだ。まずい給食なら、子どもはしゃべりたくなる。しかし、初等科の給食の水準は高い。すべて手作りであり、冷凍の食材は一切、使っていない。仕入れにも気を使い、原則として添加物は入った加工品は使用しない。野菜は無農薬が基本。それでいて、メニューは和洋中、エスニックとバラエティに富んでいる、前日調理は行わない。美味しいものが目の前にあれば食事に集中せざるを得ないのである。


・栄養士・中島久子さん「私は給食は教育だと思っています。冷凍食品を使わない、素材の味を引き出す。これは日本の食事のかたちだよって、子どもたちに伝えたい」


・中島が毎月、児童たちに配る給食献立表には料理のレシピ、今月の目標などが載っている。「食事への感謝を忘れずに。わたしたちが食べる食べ物は、みんな生きていたものです。さらに、食べ物を育ててくれた人、料理を作ってくれた人などへ感謝の気持ちを込めて食事の前後にあいさつをします。ご家庭でも毎回『いただきます』『ごちそうさま』とう習慣をつけましょう」


・中島は言う。「本来、食育は家庭が基本だと思います。給食は家庭の応援で、子どもたちがそれまで嫌いだったものが食べられるようになればそれでいい。そして、子どもたちが元気にいただきますと言ってくれればそれでいい」給食のおばさんたちにとって、感謝は「ありがとう」ではない。それよりも元気な声で「いただきます」と言ってもらう方がよほど嬉しい。大人でも、子どもでも、いただきますを忘れてはならない。


ハマトラと横浜の頑固なファミリービジネス(フクゾー)」「崖の上にある世界一のシェークスピア劇場(ミナック・シアター)」「戦後日本の腹を満たした魚肉ソーセージの父(菅原傳(つたえ))」「空を目指さなかったエンジニアの車なんて…(スカイライン櫻井眞一郎)」「めでたいお赤飯は、和菓子店で購うべし」「絶景の特等席に座る女性クレーンオペレーター」「銀座の老舗は、商売替えを厭わない(大黒屋)」「高倉健が観せられたレンブラントの模写(「黄金の兜の男」)」「日本一サービス精神のあるロックバンド」「横浜長者町クレイジーケンバンドなど。


みんな紹介したいくらい!これもぜひ映像化して欲しいなあ。オススメです。(・∀・)


サービスの裏方たち (新潮文庫)