「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「BAD KIDS」(村山由佳)

全作品読破を目標にしている村山由佳氏。私と同い年ということと母の旧姓、「村山」ということで親近感があるのだ。恋愛小説、特に大胆な性描写と心理描写に定評があるよね。さてこの本も、いいよお!


「高校写真部の部長の都は、20歳もの年上のカメラマンとの関係に苦悩している。彼女が被写体に選んだのはラグビー部の隆之だった。しかし彼が気持ちを動かされているのは、同性のチームメイトだった。傷つき、愛に悩み、性に戸惑いながらもひたむきに生きる18歳の、等身大の青春像を描く。みずみずしいタッチの長編恋愛小説」
そのエッセンスを紹介しよう。


・宏樹と並んでただぼんやりと黙っている。その一刻一刻が、僕にとっては最高の時間だった。女とではこうはいかない、と僕は思った。女はいっときでも言葉がないといられない生き物だ。黙っていることの快さを知らない。僕は自分と宏樹の間の言葉のいらない関係をひそかに誇りに思い、自分たちのことを、女や、女にかずらわって休日を浪費する級友たちよりも進化した人間のように感じていた


・わかっていないはずはない。都が撮ったあの写真には、僕の宏樹への想いがすべて封じ込められていたのだから。あの一瞬、僕の視線は、濡れそぼった宏樹の体にくぎづけになっていた。いわゆる肉欲というやつ丸出しだ。都は偶然、そのたった一秒をカメラにとられてしまったのだった。


そうさ、俺はどうかしてる。あいつはどこから見たって男だ、なのにあいつを見てると俺は、身震いがとまらないほど欲情する。俺は……俺はときどき、胸の中のものを洗いざらいぶちまけてあいつを殺しちまいたくなる。誰かにわたすくらいなら、あいつを殺して自分も死んじまいたいなんて、そんなことまで考えたりするんだ。……どうだ。狂ってると思うだろ?


「男と女でなきゃ間違っているなんて、いったい誰が決めたの?そんな道徳観念なんて、もともとは宗教か何かから出たたわごとでしかないのよ」


・「何が怖いって、あいつに軽蔑されるのが一番怖いんだ。それに、俺がどれだけ真剣だった人から見りゃただの変態だし、誰もが君みたいに考えてくれるえわけじゃないもんな。うん……やっぱり、できないだろうと思うよ。あいつをそんな出口のないようなところへ引きずり込むことはできない。どんなにそうしたくても」


一緒には暮らせない。あなたが、私の思い出を憎んでいるからよ。わがままだと思うでしょうけれど。あなたが本当に私と一緒にいたいと思うなら……あのひとを大事に思い続ける私を許してくれなくては


・彼のひたむきさが、重いの。今は私以外の何も見えなくなっているけれど、いつかふっと我に返った時、自分がどれほどの時間と労力を無駄にしたかに気づいて、愕然とするかもしれない……うんと後悔するかもしれない……。そういうことのすべてがこわいの。いつか彼が『俺はこの女でなくても幸せになれたかもしれない』って、そう思うのが。私は、誰かを恋するっていうのがどんなものかを知っている。それがどんなに愉しくて苦しいか、その気持ちがやがてどんなふうに落ち着いていくものが、その道のりを、もう知ってるわ。でも彼にとってはこれが初めての恋なのよ。いつか、別のがどんなか知りたくなっても、無理ないもの。


高校の時の恋愛ってなかったからなあ…こんなふうにそれぞれが一生懸命生きていたんだね。青春っていいなあ。オススメです。(・∀・)