「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「海を抱く BAD KIDS」(村山由佳)

いいなあ…やっぱり村山由佳さんはいいなあ…。(・∀・)先日紹介した「BAD KIDS」の続編がこの本。


「超高校級サーファーであり誰とでも寝る軽いやつと風評のある光秀。一方、まじめで成績優秀、校内随一の優等生の恵理。接点のほとんどない二人がある出来事 をきっかけに性的な関係をもつようになる。それは互いの欲望を満たすだけの関わり、のはずだった。それぞれが内に抱える厳しい現実と悩み、それは体を重ねることで癒されていくのか。官能の「海」へ旅立つ、18歳の生と性の真実」そのエッセンスを紹介しよう。


・都とのキスは、私にとってはものすごく衝撃的な、ほとんど宇宙的なまでの体験だった。予想をはるかに上回る素晴らしさだった。これ以上唇を重ねていたら、脳みそがぐにゅぐにゅに溶けてしまうんじゃないかと思って、怖くなってやめたくらいだった。でも、都はそうじゃなかったのだ。そうして私の中にはひとつの疑問が生まれた。はたして自分は、男の子とキスをしても同じくらい感じられるのだろうか?それともやはり、女の子が相手だったからなのだろうか


いっぺんでいい。実際に男の人のものを受け入れてみたら、何かが変わるかもしれない。男の人に抱かれてみて、この体が「死ぬほど」気持ちよくなるのを感じることができたなら、私もじつは単なる普通の女にすぎなかったんだと納得できるかもしれない。そうれば、自分の中に男の子が棲んでるなんていうのは思い過ごしだとわかって、もう女の子を好きになったりしなくなるかもしれないし、最悪の場合でも……この体の奥のズキズキする熱さだけは消えてくれるにちがいない。


「お前、」かすれた声がくり返した。「海と……」やがて、私が生まれて始めての昴まりに息をつまらせ、足先を引き攣らせて悲鳴をあげる瞬間まで、山本光秀のその言葉は、朦朧とした頭の真ん中で繰り返し響きつづけた。ーお前、海とおんなじ味がする……。


・深く、もっと深く、同化する。寄せては返す波に似たうねりが、僕を受け入れ、翻弄し、漂わせる。海を、抱いているような気がした。違う。彼女が、海を抱いているのだった。僕にとっては挑むものであり、永遠に対立するものでしかないあの海を、彼女はいともたやすく体の中に抱いているのだ。目をつぶる。彼女の内部が確かな力で僕を押し戻そうとする。その確かさに応えるように腰を動かしながら、僕はまぶたの裏側で親父の萎れた股間を思い浮かべていた。あの親父も、かつてはこんなふうにおふくろを抱き、おふくろの海に自分を解き放ったのだ、だから今、僕がここにいる……


花村萬月は語る、「私はこの作品を女の性の教科書として読みました。男はどうしても女の性慾をなかなかうまく理解できないものです」


男と女、男と男、女と女という様々な「性の世界」があるんだねえ…そして何が正しい、正しくないってないんだねえ…見方が変わるなあ。オススメです。(・∀・)