損か得か、じゃなくて「粋か野暮か」というのが江戸時代の価値観、いいねえ、いい日本語だねえ、「粋」っていうのは!
「粋」という言葉が死語になりつつある今、落語の世界に残っているのだ。そんな粋な日本語のエピソード集。そのエッセンスを紹介しよう。
・会合で飲み会でもいいですが、よんどころない事情で中座することがありますね。この場合、その事情を正直に言うと、たいがい雰囲気を壊します。「女を待たしているんで」と言えば。「なんだコノヤロー」となりますし、「オフクロが倒れちゃって」と言えば、場が暗くなります。そんな時、粋な男はどう言うか。「ちょっと野暮用で」と言えばいいのです。このセリフを聞いたらツッコんではいけないというのも粋な男の鉄則で、それが女の一件と察した場合のみ、「お安くないね」などと返していいのです。安くない、高くつくぞの意で、とりあえずご馳走しろよということ。金を使わずして男を磨く。それが粋の精神です。
・ぼんやりテレビを見てちゃいけませんね。ときどき粋なことを言う人がいるんですね。加藤雅也という俳優さん、結婚会見でプロポーズの言葉を尋ねられ、こう答えました。「おつきあいを前提に結婚してください、です」と。いいですねえ、「結婚を前提におつきあいを」じゃないんです。「おつきあいを前提に結婚してください」なんです。二枚目ににしてこの粋なセリフ、かないませんな。
・赤ん坊はすべて女の子というのを御存知ですか。そんなバカなと思いでしょうが、女の子にするとその親が喜ぶという話なのです。「まあ可愛い。女のお子さんですか」「はいそうです」「そうでしょう。器量よしでいらっしゃるから」これでOK、親御さんは喜びますね。「まあ、可愛い。女のお子さんですか」「いえ男の子です」「えっ?男の子?あんまり器量よしでいらっしゃるんで、私はてっきり女の子から思いました。末は役者さんですかね、楽しみでしょう」もう親はデレデレで、どっかでお食事でもということになるわけです。
・何かいっことがあったようで、真打が前座数人を寿司屋に誘いました。
「今日はフトコロがあったけえんだ。何でも好きなものを食いな」回転寿司さえ滅多に行けない前座です。まあ喜ぶまいことか。口々に言ったもんです。
「ありがとうございます。ではトロを」「私もトロ」「こっちにもトロを」「同じくトロ」これを同時多発トロという……。
いいねえ、粋なオトコになりたいねえ。オススメです。(・∀・)