「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「飼い喰い 三匹の豚とわたし」(内澤旬子)

いやー…この本には、ビックリした…驚いた…!(・o・)!


自分で豚を飼って、つぶして、食べてみたい――。世界各地の屠畜現場を取材してきた著者が抱いた、どうしても「肉になる前」が知りたいという欲望。廃屋を借りて豚小屋建設、受精から立ち会った三匹を育て、食べる会を開くまで、「軒先豚飼い」を通じて現代の大規模養豚、畜産の本質に迫る、前人未踏の体験ルポ」そのエッセンスを紹介しよう。


・この本は2008年10月から2009年9月までの一年間をかけ、三頭の肉豚を飼い育て、と畜場に出荷し、肉にして食べるまでを追ったルポルタージュである。これまで世界各地の屠畜の現場を取材をして、家族で一頭の羊を屠り分け合って食べるところから、一日4000頭の牛を屠畜する大規模屠畜まで、数多の家畜の死の瞬間を見てきた。彼らがかわいそうだという感情を抱いたことはない。彼らの死骸を食べることで私たち人間は自らの生存を支える。それは自明のことだからである。しかし取材をしているうちに、これらの肉はどのようにして生まれ、どんなところで育てられ屠畜されるに至るのかに、興味をおぼえるようになった。


私たちは何を食べているのだろうか。知っているようで、何も知らない。自らの手で住居の軒先に小屋を作り豚を飼い、日々触れあうことで、豚という食肉動物が、どんな食べ物を好みどんな習性があり、一日をどう過ごしているのか、私という人間にどう反応するのか。また、私自身が豚たちをかってみて何を感じるのか、じっくりと気が済むまで体験した。日本で飼養され、出荷され食べられていった、すべての豚たちに、この本を捧げる。


・屠畜場に送られてくる前の段階で家畜たちがどうしてきたかについて、私は何一つ知らないままなのであった。どうやって生まれるのか、どんな餌をどれだけ食べてきたのか。出荷体重まで育てるのに農家は毎日何をしているのか。豚がどんな生き物なのか。どんな匂いがして、どんな歯がついていて、どこまで硬いものを噛めるのか、そんなことすらわからないままに、出荷体重だの味やら格付けについて取材するのは、難しい。


帰って来てくれた。殺して肉にして、それでこの世からいなくなったのではない。私のところに戻って来てくれた。今、三頭は私に中にちゃんといる。これからもずっと一緒だ。たとえ肉が消化されて排便しようが、私が死ぬまで私の中でずっと一緒にいてくれる。こんな奇妙な感覚に襲われるとは、私自身、ほんとうにほんとうに思いもしなかった。


・私はずっと三頭と一緒に暮らしたかったのだろうか。そうとも言えるし、そうではないとも言える。今現在も、私は三頭の存在を体内に残している。これだけは今後も決して揺らがない。ここを礎に新たに動物を食べることを考え続けて行くしかないだろう。この知覚を授けてくれた三頭に、私はようやく感謝の言葉を心から言うことができる。私のところに来てくれて、ほんとうにありがとう、と。


その他、「システム化された交配・人工授精」「分娩の現場で」「豚舎建設」「そして豚がやってきた」「日々是養豚」「豚の呪い」「豚と疾病」「自分の屠畜日がわかる豚」「最後の肥育追い込みが農家の醍醐味」「消費者に売れるのはたった23キロ」など。


お米や野菜を作ってくれた農家の方にも、屠畜に携わっている方にも感謝だよね。合掌。オススメです。(・o・)!