私の愛読書である井沢元彦氏の本。これはその集大成ともいえるものだ。(^^)
そのキーワードが、「穢れと禊ぎ」。この本を読むと、自分が日本人であるというアイデンティティがよく分かる。そのエッセンスを紹介しましょう。
・日本人というのは、はっきり申し上げて、世界で最も軍隊を毛嫌いする民族です。このことは事実ですし、歴史的にいくらでも証明することができます。これは日本人の持つ宗教感情が。日本人を軍隊嫌いにさせているのです。
・世界で割り箸、つまり一回で使い捨てる箸を捨てる国は日本以外にはありません。そしてこれは日本人がぜいたくになったから、割り箸を使うようになったのではない、ということです。歴史的に見て、日本人が割り箸を使う習慣は、古代まで遡ります。
・一般的な日本の家庭では、食事の時に、各人の使う箸と茶碗が決まっています。ところがヨーロッパでは、こんなことは絶対にありません。ナイフにせよフォークにせよ、皿にせよ、みな同じ物を使います。形も同じだし、色も同じです。これは極めて異常な現象です。そして日本の家庭において個人の食器を決めているのがいわゆ和食器だけです。どうして和食器に限り、個人の食器を決めなければいけないんでしょう。そのキーワードが「穢れ」です。
・あなたはお米を作ってくれた農民に感謝するのと同じように、牛肉、ないしは豚肉を食べるときに、それを殺して血を抜いてくれた人に感謝したことがあるでしょうか。ほとんどいないと思います、これは日本人のいちばんいけないところだと思うのですが、米のときは感謝するのに、肉のときは感謝しないのです。なぜでしょうか。
・日本人にとって「軍事」というのは、そういった類いのものなのです、なぜならば、軍事というものも、殺すものであり、血に触れるものです。日本人が最も嫌う殺生であり、死の穢れに触れるものです。ですから平安時代の貴族たちは、これを自分で行うのを止めてしまったのです。つまり「手を汚さない」のです。「手を汚す」ようなことは、つまり穢れに触れるようなことは、自分たちが差別している人間にやらせるのです。