あっという間に平成27年になるんだねえ。昭和は遠きになりにけり。歌は世につれ世は歌につれ。
さてこの本。懐かしの昭和の名曲を紹介したもの。いわば歌の昭和史。実に懐かしい。そのエッセンスを紹介しよう。
・僕は、そもそも「歌」というものは歌手やアーティストのものではない、と思っている。もちろん、作曲者や作詞家の所有物でもない。「歌」は、多くの人が声を出して歌ってこそ、「歌」だと思うのだ。この本は「うた先案内人」を自称する僕が、あなたが「歌う」ための「昭和歌謡」を時代順に選んだものでる。この中の一曲でも多く歌っているうちに、あなたの胸に、若かった頃のあなたの思い出がよみがえってくれたら、そして、声を出して歌ってくれたら、こんなにうれしいことはない。ここに集めた「歌」は、すべて、あなたのための「歌」なのだから。
・由紀さおりという芸名は、着物の好きなお母さんが、結城紬と紗を織るという意味で、結城紗織から、由紀さおりになったそうだ。
作詞家の吉岡治さん、作曲家の弦哲也さん、それにアレンジャーの桜庭伸幸さんの3人が天城湯ヶ島の温泉旅館に二泊三日の予定で籠もり。食事も酒もそこそこに、この歌を制作したという。3人の難題、「カラオケで素人が絶対に歌えない唄」を作ること。わかりやすくいえば、プロの歌手でも「石川さゆりしか歌えない歌」を作るということである。そして、作詞家はこれまでの演歌にない、練りに練った歌詞を次々と並べる。
たとえば、阿久さんは「北の宿から」で、「あなた死んでもいいですか」と書いて衝撃を与えたが、吉岡さんはもっとすごい。「誰かに盗られるくらいなら あなたを殺していいですか」と書いた。男に惚れて狂ったような女の心情を激しくぶつけながら、女にとっての「天城越え」は何かをこれでもかと訴える。まさに、恐ろしい女の情念を詞に託した。それを作曲家の弦哲也さんが引き受ける。ドロドロとした女心の恐ろしさを見事に譜面に写しとった。
特に、「リンゴの唄」(並木路子・霧島昇 昭和21)「有楽町で逢いましょう」(フランク永井 昭和32)「コーヒー・ルンバ(西田佐知子 昭和36)「高校三年生」(舟木一夫 昭和38)「エメラルドの伝説」(ザ・テンプターズ 昭和43)「夜明けのスキャット」(由紀さおり 昭和44)「よこはま・たそがれ」(五木ひろし 昭和46)「また遭う日まで」(尾崎紀世彦 昭和46)「瀬戸の花嫁」(小柳ルミ子 昭和46)「ひなげしの花」(アグネス・チャン 昭和47)「情熱の嵐」(西城秀樹 昭和48)「うそ」(中条きよし 昭和49)「二人でお酒を」(梓みちよ 昭和49)「勝手にしやがれ」(沢田研二 昭和52)「秋桜(コスモス)」(山口百恵 昭和52)などなど。
ああ…歌いたい、弾き語りたい…。やっぱり昭和歌謡はいいねえ。歌うのもよし読むのもよし。オススメです。
(・∀・)