「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「葉桜の季節に君を想うということ」(歌野晶午)

ウチ(SA)のスタッフから紹介されて読みました。…参った…。ラストにやられた…どんでん返しだあ…!
時系列と登場人物の全体像がつかみにくいのだけれど、後半でバシッと謎解きがっ!えっ、そうだったの−!?


「「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。」


タイトルからすると少女小説っぽいけど、違います。ミステリーです。そしてこれは50歳の私にはよくわかる。深いメッセージです。


「最近、桜の木を見たことがあるか?そうなんだよな、花が散った桜は世間からお払い箱なんだよ。
せいぜい、葉っぱが若い五月くらいまでかな、見てもらえるのは。
だがそのあとも桜は生きている。今も濃い緑の葉を茂らせている。
そして、あともう少しすると紅葉だ。
そうなんだよな、みんな、桜が紅葉すると知らないんだよ。
赤もあれば黄色もある。楓や銀杏ほど鮮やかではなく、沈んだような色をしている。
だから目に映えず、みんな見逃しているのかもしれないが、
しかし花見の頃を思い出してみろ、日本に桜の木がどれだけある。
どれだけ見て、どれだけ褒め称えた。なのに桜が散ったら完全に無視だ。
色が汚いとけなすならまだしも、紅葉している事実すら知らない。ちょっとひどくないか。
桜の樹は本当に散ったのか?俺の中ではまだ満開だ。花が見たいやつは花を見て愉快に騒げばいい。
一生のうちにはそういう季節もある。
葉を見る気がないのなら見なくていいい。しかし今も桜は生きていると俺は知っている。
赤や黄に色づいた桜の葉は、木枯らしが吹いても、そう簡単に散りはしない。」


私はこれは恋愛小説だと思う。騙されたい方、超オススメです。