一日一冊一感動!小野塚テルの『感動の仕入れ!』日記

タイトルは、『一日一冊一感動!小野塚テルの感動の仕入れ!』日記。 毎日の読書、映画、グルメ、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。(ときどき「酒場のギター弾き」「B級グルメ」も紹介します)

「活版印刷 三日月堂 雲の日記帳」(ほしおさなえ)

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活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

 

 早くも今年読んだ本のナンバーワンが決まりました!それがコレ!活版印刷 三日月堂。読み終わるのが惜しいくらい傑作です。ストーリー、登場人物の描写、まるで今のワタシの精神状態を映しだしているよう。(・∀・)

 
「小さな活版印刷「三日月堂。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉。仕事を続ける中で、弓子が見つけた「自分の想い」と、「三日月堂の夢」とは――。感動の涙が止まらない、大人気シリーズ完結編!」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
人間が生きていくためには、自己主張も必要ですけど、調整も必要なんじゃないですか。年齢を重ねるほど、そっちが重要になる気がするんですけどね。
 
星空館、父にとっては思い出の場所ですから。こうして協力できて喜んでいると思います。わたしが生まれる前に母とふたりで行ったこともあったみたいですし、わたしも何度も連れていってもらった。なんとなく、あのときがいちばん父の近くにいられた気がします。父も私もおたがいの顔なんて見ずに、星を見ていただけなのに
 
みんながそれぞれ自分の大切な木について語ってくれた。亡くなった伯父が好きだった木のこと。家族とともに桜並木を歩いたときのこと。戦争中、出世稲荷神社イチョウをなでて出征した父親のこと。木の思い出を語り出すと、なぜかみないつのまにか大切な思い出にたどりつく木は人の心にも根を張り、底の方まで伸びていくのかもしれない。
 
言葉には根っこがるのかもしれない。目に見える葉や幹の下に根っこがのびて、土のなかに広がって……。地面のなかでほかの根っこと出会ったり、からまいあったりしているのかも。
 
本というのは、たくさん作って消費するものじゃない。みんなが同じものを繰り返し読んで、なにかを発見し続けていくものなんだ、って気づいたんだ。俺はそういう本を作りたい。いまの時代にはむずかしいかもしれないけどね。
 
・雲には実体がない。形がないし、さわることもできない。懸命に観察しようとしても、刻々と形を変え、とどまることがない。だが、考えてみれば、わたしたちの心に映る景色もそのようなものなのかもしれない。刻々と形を変え、実体はなく、さわることも、その場に残しておくこともできない。そして、わたし自身にしか見えない。だからなのだろうか、わたしが雲に惹かれるのは。見ると、さっき丸かった雲が形を変え、細長くなっていた。
 
・おいしい。お菓子は人といっしょに食べた方がおいしいってほんとですねお菓子はおもてなしのためのもの、むかしは神さまに供えるものでもあった。だからひとりで食べるより人と分け合った方がいい。ひとときを分かち合うために。
 
・不思議な言葉ですね。雲になる練習……。
 
雲日記を書くことで、わたしも雲になる練習をしてきたんですよ、きっと。でも、ただそれだけ。本にして、形に残してはいけない。雲には形がないのだから。
 
いくら手を伸ばしても、散っている花びらに触れることができなかった花びらは空気のようにふわふわと舞って、指のあいだをすり抜けていった世界も同じだ。結局大事なものは全部指のあいだをすり抜けていった
 
・「さっき、別れ際に水上さんに言われたんですよ、弓子さんに想いを届けろって。大丈夫、今日ならかなう、わたしが魔法をかけておいたから、って。高澤橋の近くで告げれば、絶対にかなうはずだって」魔法……。たしかに魔法だ。わたしはうつむいて、くすくす笑った。
 
「星をつなぐ線」「街の木の地図」「雲の日記帳」「三日月堂の夢」どれも秀作です。このシリーズが終わるのが淋しい!超オススメです。(・∀・)

 

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活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)