「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「セブン」(乾くるみ)

必ず二度読みたくなるという評判の『イニシエーション・ラブで売れに売れている乾くるみ氏。女性かと思ったら男性なんだよねー!^^;

この本は、「7」という数字にまつわるロジカルな企みに満ちた七つの物語。中でも短編のこの話を紹介しよう。


「一男去って…」


・春雄たち七人兄弟の母は、精神的におかしくなって、子供に暴力をふるう傾向が見られたが、とうとう4月から小学校に進学するはずだった末弟の善雄が、アザだかけで死んでいた。父親がいない兄弟にとって、ただ一人頼れる大人である母を警察に引き渡すわけにはいかない。「あかんわ。来月から小学校に進学させんといかんのよ。登校拒否や言うてもナントカ委員の人が家まで来るから、結局無理やわ」日本には戸籍制度と義務教育制度があり、小中学生の子供が誰にも姿を見られない状態のまま不審がられることは不可能に近い。


しかし春雄はあることを思いついた。「母ちゃん。そういえば俺、今日、中学卒業したからさ。俺が高校に行かずに家に引きこもって誰にも姿を見られないでいる分には特に問題にならんやろ。だから縁もゆかりもない土地に引っ越して、俺が雄二にになって、中三をもう一回やるんよ。そんでなー」


本来ならば四月からは次男の雄二が中三、三男の三太郎が中一、四男の四郎が小五、五男の大吾が小四、六男の六郎が小二、そして死んだ七男の善雄が小一にそれぞれ進級(進学)する予定だった。それを一人ずつずらすのだ。引越し先の新しい小中学校ではそれぞれ一個ずつ下の弟の名前を名乗ればいい。義務教育を受けなければならないのは六人。春雄たちの兄弟も善雄が死んで六人。帳尻を合わせるためにはそれしかない。


母は春雄の計画にすぐに乗った。善雄の死体は山に埋められ、まったく知り合いのいない遠方の土地への引っ越した。それで……。


その他、「ラッキーセブン」「小諸ー新鶴343キロの殺意」「TLP49」「殺人テレパス七対子(チートイツ)」「木曜の女」「ユニーク・ゲーム」など。

実にオモシロイ!「7」ってホントにラッキーナンバーなのだろうか!?オススメです。(・∀・)