半沢直樹シリーズで一躍有名になった直木賞作家、池井戸潤氏。初めて著作を読みました。オモシロイ!実にオモシロイ!(・∀・)
記憶に新しい三菱製大型トラックの脱輪による死傷事故とリコール隠しなどをモチーフにしている。だから「空飛ぶタイヤ」なのだ。
「トレーラーの走行中に外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。タイヤが飛んだ原因は「整備不良」なのか、それとも……。自動車会社、銀行、警察、週刊誌記者、被害者の家族など、事故に関わった人それぞれの思惑と苦悩。そして「容疑者」と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともに事故の真相に迫る。そのエッセンスを紹介しよう。
・「将棋の駒には動き方のルールがある。だけどな、小牧。会社にはそんなものはない。なにしろ相手は人間だ。飛車が斜めに走り出すことだっってあるんだぜ。読みも大事かもしれないが、一番大事なのは、瞬間的な判断力じゃないのか」
・俺はいったい何をしているのか。俺の行く末には、本当に明るい未来などあるのか。このまま、自己の責任を押し付けられ、世の中の芥と消える運命ではないのか。その時家族や社員、そして自分はどうなるのかー。今は自分を信じるしかないのだといいきかせてみる。だが、その難しさは、信じようとした人間にしかわかるまい。闘うといえば、聞こえがいいが、今の赤松の精神状態は、まさにどん底だった。満身創痍になりながら、ひたすらあるかどうかわからない出口を探して迷っている洞窟探検家と同じだ。
・当たり前だ、この野郎。その傲慢な顔に向かって高幡はいってやりたかった。この捜索に賭けているのは警察のプライドなんかじゃない、刑事の魂だ。お前が賭けているものはせいぜい金と出世だろうが。そんなもんに負けるかよ、何も出なけりゃ刑事を辞めるーそうともで思い詰め、この朝を迎えたのだ。勝負だ。
・商品開発部。ここに沢田は、夢を追って来たはずだった。だが、追い求めた夢はここにはなかった。あるのはただ、企画書一本、正当に評価できない腐敗した組織だけだ。
中小企業のオヤジが大企業に挑んでいくその姿勢がいいよね。ジェットコースターに乗っているようなハラハラドキドキ感!一気に読めてしまう傑作エンターテイメント小説。超オススメです。(・∀・)