「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「藁(わら)1 ものと人間の文化史55-1」(宮崎清)

新潟出身の私の子どもの頃の原風景は田んぼである。そして稲刈りが終わったあとの「稲架掛け(天日干し)」である。よじ登って遊んで、よく怒られたっけ…。(・∀・)



さて、この本は名著である。日本人の原点でもある「藁」についての研究本である。そのエッセンスを紹介しよう。


西洋の「石の文化」に対比して日本は「木の文化」の国と言われてきた。「木の文化」を「主」とすれば、「ワラの文化」は「副」の文化と見ることもできよう。その柔らかい「副」の文化が、「副」であるがゆえに持つ大きく広い役割は、滅び、替わることのできるものの強さ、といった哲学的な思索をすら誘うところがあって、興味がつきない。


・憑かれたように「ワラの文化」を追い求めていくなかで、「ワラの文化」は、単に「ものの文化」にとどまらず「こころの文化」として日本人の精神世界の深層に刻み込まれてきたものであり、同時にそれは、地域の風土の優れて対応して地域社会の造形力がいかんなく発揮された結果であることも知らされた。そしてその背後に、およそ二千年もの歳月があったことも教えられた。


人々は身体の全体を全体をワラで包んだ。食生活、住生活、生業、運搬、遊戯などあらゆる生活領域において、枚挙にいとまがないほどの「ワラの文化」が展開された。人々は注連縄・注連飾りを張って神々を招き、神仏への供仏をワラ皿に入れ、盆にはワラ火をたいたりワラ馬やワラ人形をつくって死者の霊を送り迎えした。幸運を分かち合う時には、祝いの品をワラ苞に入れて隣人や親類に贈った。こうして、日本人は、ワラの中に生まれ、ワラの中で育ち、ワラのなかで彼岸に送られ、そして、ワラによって彼岸からこの地に迎えられた。燃料、肥料、飼料としてのりようも積極的に行われた。われわれの暮らしにとって、ワラは欠くことのできない、まさに「日本文化の核」であった。


その他、「ワラ文化の輪郭」「稲作農業の展開とワラ文化の誕生」「ワラ文化の諸技術」「居住空間とワラ」「ワラの比較文化など。

日本人の原点はここにある。急速に失われつつあるこの文化を忘れてはならない。オススメです。(・∀・)