何度も紹介した、名著「あの世に聞いた、この世の仕組み」(雲黒斎)
深い…実に深い…。
今回は、「あの世ツアーズ」という話を紹介しよう。
人生は「旅行」みたいなものだよ。そう、「あの世」から「この世」に観光に来たんだ。
〜機内アナウンス〜
「アテンションプリーズ。アテンションプリーズ。本日は、マザー・エアラインズをご利用いただき、誠にありがとうございます。ご搭乗いただきましたこの便は、現象界・産婦人科国際空港行きMAL49(子宮)便でございます。離陸後、出生までの飛行時間は、十月十日を予定しております。これより先、若干の揺れが予想されます。みな様の安全のため、へその緒をご確認ください。揺れによりご気分が悪くなられましたら、客室乗務員へお申しつけください。当機自らが身代わりとなり「つわり」として対応させていただきます。また当機のフライト時間は長時間になります。エコノミークラス症候群回避のため。途中、適度な運動(胎動)をお願いいたします。それでは到着まで、ごゆっくりおくつろぎください」おまえは、そうやって生まれてきた。出生時の産声は「ああ、やっと着いた〜!は〜、ずっと飛行機の中で座りっぱなしだったから体痛て〜」という心の叫びだよ。
到着後はレンタカーを使った完全フリープランだ。私とともに出発前に計画した観光地をめぐる。レンタカーはその体だよ。おまえはその体を借りたことすら忘れているだろうね。だからほら。今日はそのとき契約したレンタカー屋さんの営業さんをお連れした。
『黒斎様、お久しぶりでございます。私、アノヨレンタリース営業部・カスタマーサービスセンターの轟連太郎でございます!
え? やっぱり私のことをお忘れですか…黒斎様がこちら(この世)へのご旅行へ出発なさる際、そのレンタカー(体)の契約時にお会いしていたじゃありませんか。やっぱり、思い出せませんか? そうですか…。
風の噂で、この世の皆様は、あの世でおこなった「貸渡契約内容」をすっかりお忘れになっているという話を聞いておりましたが…。いやはや。まさか、本当の話だったとは…。
それでは、ちょっとこの場をお借りして、あの時の契約内容を、再度ご説明させていただきますね。
私どもアノヨレンタリースでは、この世へご旅行される方を対象とした「車両貸出事業」を行っております。
皆様にご利用いただく車両につきましては、ご旅行プランをヒアリングし、その計画に沿った「完全オリジナル」の車両をご用意させていただくことになっております。。
ご利用期間は、お客様のご希望に合わせて契約させていただいております。この、ご利用期間のことを、皆さんは「寿命」とお呼びのようですね。
お車は、ご利用の最終期日になりますと、そのまま廃車になるよう予めプログラムされています。廃車になる要因は、故障や事故など、事前にヒアリングさせていただいたお客様のご要望に合わせてプログラムしております。
当社の施したドライバーセーフシステムの安全性は抜群です! どのようなシチュエーションで廃車になっても、ドライバー(魂)が「死ぬ」なんて事は絶対にございません! 最終最後まで、どうぞ安心してドライブをお楽しみください。
また、ご利用期間が終了し、車が廃車になった際は、当社スタッフが皆様をお迎えに参りますので、あの世へお帰りの際も安心です。
ただし、スタッフがお迎えに伺うのは、予めご契約させていただいている「ご指定の場所・日時」限定です。万が一、お客様が「自損事故」で当初の旅行プランより早く車を失ったとしても、当社ではお迎えを出せません。あの世に帰ってこれなくなったとしても、当社では一切責任を負いませんので、予めご承知おきくだ さい。
貸し出しする車両の台数は、お一人様1台限定とさせていただいております。ご旅行中の途中乗り換えはできませんのでご了承ください。また、ご旅行中の修理やメンテナンス、車検、また、事故が起こった場合の処理につきましても、お客様の自己責任で行っていただきます。ご旅行中に大きな故障が現れたとしても、代替車はご用意できませんので、どうぞ大切にご利用下さい。
ただし、お客様のご希望により一部のパーツに予め「故障タイマー」を設置させて頂いている場合もございます。
契約書のサインは、黒斎様のお名前で頂いております。万が一、ご契約者以外のドライバーが運転していた場合に事故が起きたとしても、その責任は、ご契約者にあるものとなります。ですから、不用意に運転席を他の誰かに預けないようご注意ください。
と、言いますのも…最近、あの世に帰って来ていない、行方不明のドライバーが数多くいるんです…。
車を失っても、「この世」に留まっているようでして。きっと、旅行に満足いってなかったんでしょうね〜。
私も以前、ご利用期間を終了したお客様をお迎えに行ったことがあるんですけどね、拒否された事があるんですよ。「帰りたくない」って言うんです。
その時ね、私言ったんですよ。「いやいや、ご旅行に心残りがあるのは分かりますが、お車がないと不便でしょう?一旦あの世に帰ってから、もう一度レンタカーを借りませんか?なんでしたら、私が新たな契約を担当しますよ。」って。なかなかの営業上手でしょう?
でもね、この時の、このお客様、頑なに拒否するんです。あのお客様は、今どうしておられるのか…。
あ。もしその方に会ったらお伝えください。「ご旅行に心残りがあるのは分かりますが、お車がないと不便でしょう? 一旦あの世に帰ってから、もう一度レンタカーを借りませんか?なんでしたら、私が新たな契約を担当しますよ。」って、アノヨレンタリースの轟が言ってましたよ、と。ああ、ごめんなさい!なんだか私一人でしゃべりっぱなしになっちゃってましたね(笑)
一口に「車」っていっても、いろいろな「車種」があるよな。軽、RV、ワンボックス、スポーツセダン、プレミアムワゴン、レーシングカー、他にはブルドーザーとか、トラクターとか、特殊車両もたくさん…どんな車種にも、個性・得意不得意があるだろ?
人間は、あの世で描いた「ドライブプラン」に合わせてレンタルする車を決めるんだ。いまは忘れてしまっているけどな、人間はみな、その旅行プランがあるからこそ、コンセプトに合わせた車(体)を借りてきているんだ。
軽快に駆け抜ける爽快感を求めて、「GT-R」を選んだ人がいる。冒険を求めて、「ランドクルーザー」を選んだ人がいる。セレブリティな走りを求めて「レクサス」を選んだ人がいる。個性も特性も人それぞれ。どれがよくてどれが悪いとかいう話じゃない。
自分の個性に合わせた道のりを選び、車に適した走り方をすれば、ドライブは快適になる。でも、自分に不向きな道のりを走るなら、それなりのドライビングテクニックや、オプションパーツの取り付け、カスタムが必要になる。雪道を走るのなら、タイヤをスタッドレスに交換しなければ事故の確率が高まる。軽自動車でラリーに出場したら、ちょっとの傷ではすまないかもしれない。でも、自分のオリジナルカスタムに自信があれば、やってできないこともない。優勝はできないかもしれないけど、自分のペースで走れば完走はできるかも。
自分の「車種」は何か。オプションパーツはついているか。特別なカスタムは施しているか?適した道はどこか?どんな走り方が向いているのか?これから向かいたい道の路面状況は?そんな感じで考えてみると、これからの人生がスムーズになるかもしれないな。
…そうだよね…そう思う。やっぱり自分の体は大事にしなきゃね、借り物だから。オススメです。(・ω<)